【金カム】リベラリストは黄金螺旋の夢を見るか？弍 (ページ24)

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「クソッ！！！！！あの野郎ぜってぇ殺す！！！！！」
「うるさ」

怒声を上げながら起き上がる。アンガーマネジメントができない訳では無い。ここが夢で誰もいないと確信していたからだが、どうやら傍らに誰かがいたらしい。

「随分早いお帰りですね」
「あ？……人型なんだな今日は」

人型、と言ってもただの影だ。辺りも真っ暗闇だから輪郭が少し浮いて見える程度。そして何よりも声があの気持ちの悪い、脳で文字をなぞっているような感覚でないことにスカラは驚く。男とも女とも取れるような音ではあるが、ちゃんとした人の声だ。

「はい。こちらの方が親しみがあるでしょう」
「上位存在ってそういうの気にするんだ…」

初めてこの夢を見た際にあった泥濘に沈むような感覚は今は無い。むしろ冴え冴えとしていて居心地がいい。
そりゃあそうだ。自分の脳味噌の中以上に心地の良い場所があるものかよ。ここは真に己の縄張りだ。誰にも邪魔されることの無い空間。閉じ籠るならうってつけだから、世の中の人々は妄想に耽っては現実を見たくないと泣き喚くのだ。そう、人の脳内というのは無人の映画館のようなものなのだ。その時の気分によって見たい映画を決めるように、人々は都合のいい見たいものを映し出す。時には見たくないものも流れてくるが…マ健全でそれなりに満足のいく人生を送っていればそうそうありはしない。

というふうに、ここはスカラの脳内なので、当然スカラ以外誰も居らず邪魔されない孤独の世界であるはずなのだが…残念ながらラプラスの悪魔が住んでいた。
何勝手に住み着いてんだ出てけカス。前歯から順に全部自分で抜いて置いてけ。と次会ったときには叩き出してやる気概でいたので、スカラは平然を装って立ち上がり、そのまま悪魔に一発殴りかかった。勿論グーで。
しかし悪魔の姿は一瞬にして消え、気付けばスカラの後ろに立っていた。その動きはドラ〇ンボールとかの登場人物しかしちゃいけない動きだろ、とスカラは突っ込みたくなるが何とか堪えた。

「野蛮な人ですね。どうやって育ったらそうなるんです」
「悪いがこのくらいは日常茶飯事だ」

「殺すぞ」と言えば「殺すぞ」と返ってくるのがうちの職場。こだまでしょうか、いえ治安がゴミなだけです。戦争帰りが殆どを占めるあの場において、品行方正は生き残れなくなるバッドステータスなのだ。なんでああなったかな(遠い目)
なお、言うまでもないがそのヤバンナチホーを作り上げたのはスカラである。