旅路の関係 ページ39
沖田side
·
きらびやかさとスタイリッシュさの中間のような、落ち着いているホテルの雰囲気。高級ホテルじゃん、と思わずおののいた。
隣のAさんはといえば、堂々と手荷物預かり所まで歩を進めていた。高級なホテルの雰囲気に慣れているような様子だ。似たところに泊まったことがあるのかもしれない。
無事に荷物を預け、ホテルマンに頭を下げられつつ改めて出発する。
京都観光のスタートだ。
『まずは清水寺ですね』
「京都駅からバスでしたっけ」
やけに海外の観光客の多い駅構内に戻り、バスターミナルを目指す。清水寺といえばあの高い舞台だろう。というかそれしか知らない。
『はい、清水寺のところの坂にお店がいっぱいあるそうですよ』
「へー」
いよいよ観光ということで楽しさが高まってきたのか、Aさんはさっきから笑みが深い。今にも鼻歌を歌い出しそうだ。そういえば前の夏祭りの時も、かなりテンションは高かったな。
あの時の眩しい景色を思い出す。
Aさんと会えてよかったと、思った時のことを。
──反射的に、目を細めた。
『あっ、沖田さん、バス来てます!』
「マジですかィ、急ぎやしょう」
小走りでバスに乗りこみ、旅行の特典でついてきたバスの1日乗車券をかざしてシートに腰を落ちつける。
バスがガタンと揺れて出発した。
その拍子に、隣に座っていたAさんの体も動き、ふわりとまた甘い香りがする。
「……あ」
『どうかしました?』
Aさんの髪の毛に目がいったことで、ようやく気づいたことがあった。
「その髪飾り」
『あっ、これ、分かります?』
Aさんは、土方を欺くためにデートをした時に、雑貨屋で買っていた髪飾りをつけていた。
確かAさんがなかなか上手く結べなくて、俺が彼女の髪をいじくったのだ。
「今気づきやした。今回は結べました?」
そのことをからかってやろうと口角をあげれば、Aさんは『なっ』と声を上げる。
『い、いつもは結べてますから。あのときはちょっと、失敗しただけで…』
「くくく」
『信じてませんね!』
まるでちびっ子が言い訳しているみたいで、俺は笑ってしまった。
『でも沖田さん、髪の毛結ぶのうまかったですね』
「あー、そうですかィ?」
確かあの時は姉上の幻影が消えなくて、咄嗟に手を出してしまったんだっけ。
武州にいた頃、姉上の髪の毛を時々いじっていたせいか、それなりに他人の髪を扱えるようになっていたらしい。誇れることなのだろうか。
106人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「銀魂」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
みるくれーぷあいす(プロフ) - 麗桜さん» ありがとうございます。 (2019年10月25日 23時) (レス) id: 147ef4680d (このIDを非表示/違反報告)
麗桜 - と〜っても面白いです!更新頑張ってください! (2019年10月25日 19時) (レス) id: a174017b38 (このIDを非表示/違反報告)
みるくれーぷあいす(プロフ) - 麗桜さん» ありがとうございます!嬉しい限りです。マイペースな更新ですが、これからもよろしくお願いします! (2019年10月19日 18時) (レス) id: 147ef4680d (このIDを非表示/違反報告)
麗桜 - とっても面白いです!無理矢理原作に沿っていなくて,とても読みやすいです!更新頑張ってください! (2019年10月19日 16時) (レス) id: a174017b38 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:みるくれーぷあいす | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ykoma1218/
作成日時:2019年8月25日 22時