新たな関係 ページ23
Aside
·
初恋を、実らせる。
沖田さんに私を好きになってもらうなんて到底無理な話だ。それこそ、犬が猿と仲良くして、猫がネズミと和解するくらいの、奇跡。
そもそも、沖田さんが私のことをどう思っているか全く分からないし。
相変わらず沖田さんはポーカーフェイスで、何を考えているかいまいち分からないことも多い。前よりは笑ってる姿を見ることが増えたといえど、どれが彼の平常運転かはまったくもって理解できない。普通の、契約じゃない関係を持っていなかったから。
「おっ、Aちゃんじゃないか」
『あ、近藤さ…ん?』
語尾が疑問形になってしまったのは仕方ない。
『ボロボロじゃないですか…またお妙さんのところに行ったんですか?』
「よくわかったね、うん、でも今日もラブビームは届かなかったなあ」
隊服はところどころ破れ、顔は腫れてあざだらけ、足を引き摺って歩いている近藤さん。満身創痍、という言葉が似合う。
そして、真選組局長である近藤さんをここまでボコボコにできるのはお妙さんだけだ。今日もアプローチにいって失敗したらしい。
…そろそろ本当に殺されそう。
『が、頑張りすぎないで、くださいね…』
なんとかなだめようと思ったものの、近藤さんは豪快に、
「いやいや、俺が押せ押せでいかないとな!これからも精一杯やるよ!」
と笑い飛ばしてしまった。あああ、近藤さんの不幸な未来がみえる。いや、それすらも笑って「お妙さんのためならえんやこーら!」とか言ってそう。一番怖いのは近藤さんなのかもしれない。
おののく私を尻目に、近藤さんは「そうそう」と隊服のポケットから何かを取りだした。
「これ、福引で当たったやつなんだ。よかったらAちゃんにあげるよ」
近藤さんがペラリと出したのは、一枚の紙。
『《京都旅行男女ペアチケット》…?』
「うん、旅行店で引き換えが必要なんだけどさ」
これを持ってお妙さんのところにいったものの、拳が返ってきたためお妙さんとのラブトリップは諦め、若者二人に手渡すことにしたんだ、と近藤さんは語る。
…旅行?
「新婚旅行、行けてないんだろ?ぜひこれを使ってくれよ。総悟にも話しておくから」
…新婚旅行?
沖田さんと?ふたりで?
『は、はい?京都旅行?』
「楽しんできなよ!じゃ!」
近藤さんは私に紙を握らせると、軽やかに去っていった。
沖田さんと、ふたりで新婚旅行。
私が恋を自覚してしまった、このタイミングで。
…これは、新たな試練、ですか?
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みるくれーぷあいす(プロフ) - 麗桜さん» ありがとうございます。 (2019年10月25日 23時) (レス) id: 147ef4680d (このIDを非表示/違反報告)
麗桜 - と〜っても面白いです!更新頑張ってください! (2019年10月25日 19時) (レス) id: a174017b38 (このIDを非表示/違反報告)
みるくれーぷあいす(プロフ) - 麗桜さん» ありがとうございます!嬉しい限りです。マイペースな更新ですが、これからもよろしくお願いします! (2019年10月19日 18時) (レス) id: 147ef4680d (このIDを非表示/違反報告)
麗桜 - とっても面白いです!無理矢理原作に沿っていなくて,とても読みやすいです!更新頑張ってください! (2019年10月19日 16時) (レス) id: a174017b38 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みるくれーぷあいす | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ykoma1218/
作成日時:2019年8月25日 22時