自覚した関係 ページ22
Aside
·
「やっぱりでしたか」
目の前に座る立花さんは嬉しそうに何度も頷く。
『はい…』
私は苦笑いしながら、チーズプリンを口に運んだ。
__夏祭りの日から数週間、私は今、いつもの甘味処で、仕事を抜け出した立花さんに《報告》している。
自分の気持ちに気づいたことを。
私が、沖田さんに恋していることを。
「ふふふ、でもよかったですね。花火見られて。いい思い出になったじゃないですか」
『ええ、まぁ』
本来沖田さんとは夏祭りで会うことは無かったはずなのだ。あれはラッキーだった。
別に、夏祭りで私が恋を自覚したからと言って、大きく生活が変わった訳では無い。毎朝眠そうな沖田さんに挨拶して、見送って、迎えて、話して。その中で、花火の時みたいにドキドキする瞬間はあったけど、日常になりつつある生活が営まれ続けている。
しかし、流れの中で思いついてしまった疑問。
…沖田さんは、私のことをどう思っているのだろうか。
ただの契約相手、と片付けられたらそれだけだ。でも、もし、その先に何か感情があるとしたら、何だろう。彼はどう考えてるんだろう。
「なら、次のステップに進まないとですね」
立花さんの言葉で、考えの沼から引き戻され。
『次のステップ?』
チーズプリンの最後の一口をたいらげる。
「はい、お相手に好きになってもらうんです」
『はあ…って、ええ!』
さらりととんでもないことを言う立花さん。
え、相手に、沖田さんに、好きになってもらう?自分を?私を?
「えっ、Aさんは、両想いになりたくないんですか」
『いや、そんな、考えてないというか…』
沖田さん、がどう思ってるかは聞きたいけど。
沖田さんも私を好いて欲しい、まで考えてなかった。いや、もちろん、そうなったら、すごいことだけど、そこまでいかないというか、なんというか。
「もったいない!初恋実らせましょうよ」
立花さんは私以上に目を丸くして、テーブルの上で拳をにぎりしめる。あまりの勢いに、思わず上半身を引いてしまう。
「初恋が最初で最後の恋になるって、すごく幸せなことですよ!ぜひ協力させて下さい!」
立花さんが息巻いたとき、お客さんが新たに入店してきた。
「あっ、ごめんなさい。仕事に戻りますね。とにかく、ファイトです!」
いつもよりなんだか燃えている立花さんが席から立ち上がる。
『わ、わかりました』
何をどう頑張ればいいんだ。
混乱した頭を抱えたまま、私も立ち上がって甘味処をあとにした。
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みるくれーぷあいす(プロフ) - 麗桜さん» ありがとうございます。 (2019年10月25日 23時) (レス) id: 147ef4680d (このIDを非表示/違反報告)
麗桜 - と〜っても面白いです!更新頑張ってください! (2019年10月25日 19時) (レス) id: a174017b38 (このIDを非表示/違反報告)
みるくれーぷあいす(プロフ) - 麗桜さん» ありがとうございます!嬉しい限りです。マイペースな更新ですが、これからもよろしくお願いします! (2019年10月19日 18時) (レス) id: 147ef4680d (このIDを非表示/違反報告)
麗桜 - とっても面白いです!無理矢理原作に沿っていなくて,とても読みやすいです!更新頑張ってください! (2019年10月19日 16時) (レス) id: a174017b38 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みるくれーぷあいす | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ykoma1218/
作成日時:2019年8月25日 22時