ツ ヅ キ 6 ページ32
Aside
·
かけられた声は、紛れもなく神楽のものだ。
顔が赤く、酔ってる。だから口調が戻ってるのか。
「ほら、これ見ろィ」
続いて現れたのは沖田だった。彼はシラフのままなのかどうなのか判別がつかない。
「この鍵」
沖田が私と十四郎にむけた手のひらにのっている鍵、それは。
『部室の鍵!』
かつて私たち四人が所属していた部活の部室の鍵。さびたキーホルダーは昔のままだ。沖田はいつの間にか職員室に寄っていたらしい。
「行ってみようヨ」
『そりゃもちろん!』
十四郎もふっと笑いながら頷いた。さっき起きたに攻撃をくらってたからか(土方暗殺計画に終わりはないそうだ)、センター分けの前髪は崩れ、V字前髪が復活している。学生時代と同じ光景だ。
「アレ、おまえらどこ行くの」
銀八が鍵を持っている私たちに気づいたようで、近づいてきた。勿論彼も飲んでいる。教師の自覚はやっぱりないようだ。
「部室アル。鍵借りたネ」
「おー、思い出巡りってか?いいねえ若者は」
神楽と会話を交わす銀八、なんか会話が噛み合ってない。
「そういやあ先生、」
起きたがいきなり声を上げたかと思うと、銀八ににやりと笑いかける。
「元副担とは仲良くやってますかィ?」
元副担とはもちろん、私たちの在学時代にZ組の副担だった女の先生だ。彼女はいつも銀八に振り回されていたけど、最後の方はだいぶ仲睦まじくなっていた。《銀八とくっつくんじゃないか》という噂がたつくらいに。
「まあな。今日来れなかったの残念がってたぞ」
確かに二人の関係は非常に気になるところだ。
「ふーん、じゃ、結婚式には呼んでくだせェ」
結婚式!?私は首がねじ曲がる勢いで沖田を見た。
「おうよ」
銀八もなんでもないように答える。いつの間に二人はそんなことに。
私が言葉を失っている間に、銀八は他の生徒のところに絡みにいってしまった。衝撃だ。
『あの二人、くっついたか…』
「Aー、行くアルヨ」
神楽たちはもう教室を出ていた。なんでそんなに平然としてるんだ、三人とも。
その時、頭の中でなにかが光った。
《A、早く行くヨ》
《置いてくぜィ》
《遅れるぞ》
人が溢れる放課後の廊下、そんな声が響いて。
先に教室を出た三人が私を待っていて。
ああ、こんなことが確かにあった。
廊下の神楽たちの姿に、制服を着ている彼らの姿がぴたりと重なる。記憶が鮮やかに浮かび上がる。
そして私はいつも、こう返事していたのだ。
『いまいく!』
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みるくれーぷあいす(プロフ) - 氷華さん» ありがとうございます!嬉しい限りです! (2019年12月25日 16時) (レス) id: 147ef4680d (このIDを非表示/違反報告)
氷華 - 神威君ーーーーーーーーー! この小説いいね♪ (2019年12月25日 12時) (レス) id: e5c89771f4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みるくれーぷあいす | 作成日時:2019年8月27日 1時