コ コ ロ 5 ページ35
Aside
·
『んむう！おいしい！』
「これは美味！」
甘さはそこまで強くなく、軽い食感にぱくぱく行ける。なんだこれ、おいしい！
「あ、リンゴジャムがかかってるな」
『そう？これイチゴジャムじゃない？』
どうやら部位によってかけてある調味料が違うようだ。桂くんは黙々とパンケーキを切り分けると、私に差し出した。
「食べてみるか？」
『…なっ』
これって、あれっすか、間接キス！！！
もう何でこんなことを天然でできちゃうの、たらし！？
『いただき、ます』
ぱくり、と頬張った瞬間、仄かな酸味と甘みが広がる。おいしい、んだけど。
「Aの方もいいか？」
『う、ん』
ええええ、と内心思いながらフォークを差し出す。ぱく、と桂さんは当たり前のように食べる。こっちも甘くて美味しいな、と桂さんは頷く。
『…あのさ、桂くん、それどーゆーつもりでやってんの』
心の中で呟いたはずの言葉は、何故か口から零れていて。あ、と思った時には遅く。
「…なんぞ？」
『なんでもない』
どうやら、気づかれなかったようだ。
***
なんとなくそれから会話がしにくて、パンケーキ屋さんを出たあとは無言だった。
「さっきのことだが」
『…え、さっき？』
桂くんはきっと、私のことが好きではないのだ。もう今日のデートが終わったら、彼女面はやめよう、と決意していた、その時だった。
「俺は、Aの彼氏のつもりでやってるが」
『…かっかかかからし！？』
彼氏！？え、自覚あったの！？
「彼氏、だ。…まあその、Aの好きな人物像に近づけたくて…好きな漫画、だったか。そいつの真似をしてみたんだが…」
『え』
脳にカムバックする、スポーツ系少年漫画のクールイケメン主人公。ええ、あれを真似てたの！？
『ちがうちがう！あれはツンデレキャラとして好きなの！実際には、もうちょっと、その…』
かああ、と顔に熱が集まるのが分かる。思わず脱力する。
「そうだったのか。なら…もう少し、積極的でもいいか」
手に伝わるあたたかさ。…手を握られた、と分かった瞬間、桂くんが私に一歩を踏み出した。
『…へ』
ほっぺに触れた柔らかい感触、これ、は、
「どうだ」
『…いきなり積極的すぎ！』
ほっぺにキスだと！？なんだそれ！
今度は積極的すぎる？わからんな、と桂くんはつないだ手に力を込める。
あいかわらず、彼は私の心を振り回す。
まあそれも幸せだな、なんて考えて、私も手を握り返した。
＿＿コ コ ロ 終＿＿
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みるくれーぷあいす(プロフ) - 鈴神さん» 嬉しすぎるコメントありがとうございます！これからも鈴神さんにそう思っていただけるよう頑張ります！よろしくお願いします。 (2019年8月24日 13時) (
レス) id: 0de76de774 (このIDを非表示/違反報告)
鈴神(プロフ) - こんにちは！突然ごめんなさい(汗 作品読ませて頂いたんですが、一人一人の気持ちがとても丁寧に書かれていて一つ一つの話にすごく惹かれました！！ほんとに素敵なお話ばかりなのでこれからも応援してます！頑張ってください！！ (2019年8月24日 1時) (レス) id: de3968cf62 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：みるくれーぷあいす | 作成日時：2019年8月13日 1時
