記念日当日、8歩目。 ページ8
「私お茶いれてくるね、一松くん何飲む?」
「アイスコーヒー。喉乾いてるから早めで。」
「はいはい。あ、ソファー座ってていいよ」
「最初からそのつもりだし」と一松くんはソファーに身を投げ出すのを見てから、私は台所に向かう。
それにしても。一松くんのためなら、と図々しいお願いでも素直に聞いてしまう自分は本当になんなんだろう。
・・・ああ、私。ほんと一松くんのこと好きなんだなあ。こじらせてる。
思いが伝わらないなら逆に諦める気がしてたけど全然そんなことなかった。
寧ろ思いは膨らんで、募ってくばっかりだし。
「はい、アイスコーヒー。」
「ありがと。」
少しわがままなところも、素直じゃないところも、ずっとずっと好きすぎて辛い。
「A。こっち向いて。」
「なーに、一松く、」
目の前で私に傾けられるアイスコーヒーの入ったコップ。
突然のことで理解できないでいると、アイスコーヒーがすぐ口に流れてきた。
苦いものが苦手なのと突然すぎて飲み込めなかったので、私はむせかえる。
「うっ・・ごほっ、ごほっ、ちょっと、一松くんっ」
「え?口移しがよかった?」
「言ってない!」
日本語が通じていないです、一松くん。
コーヒー苦手なの知っててやってるよねこれ、絶対確信犯だよね・・・!
「てかあれやるためにコーヒーいれさせたの?!どんだけやりたかったの?!」
「少なくとも今日絶対やろうと思ってた。」
「そんなに?!」
一松くんって普段Mな癖に、たまにSになるよね・・・。
まあ、そんなとこも好きなんだけどさ。我ながら重症だけど。
「あーもう、コーヒー更に嫌いになった・・・もう2度と飲まない。」
もうやらないでよ、と遠回りに言うようにわざと大きな声で愚痴ってみる。
いくら一松くんのいたずら心といえ、あれは・・きつかったし・・・。
「好き嫌いすんな。」
しかし再びコーヒーが口に入ってくる。
しかも今度こそ、口移し。
口移しに思わず顔が熱くなった私に、一松くんはニヤリと笑って一言。
「だってあんた、夜起きてらんないでしょ。」
「・・・寝かせてやらないから、寝ないようにしっかり飲んでよね。」
・・・ああ、もう。そんなことされたら。
また好きになっちゃう。
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作者名:恋音 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ygbnju1/
作成日時:2016年7月7日 21時