犬系の後輩くんは、苺の王子！

続き ページ28

「ことはちゃん、行っちゃったね……」


飛行機がブォーンと音を立てて飛んでいくのを見て、私はそう言った。


莉「俺、実は振ってくれと言われたんです」


「え？」


あんなに私をライバル視していたことはちゃんが、振ってくれと？


莉「俺、最初からことはが引っ越すこと知ってました。外国とまでは知らなかったけど」


飛行機はいつの間にか、もう見えなくなっていた。
代わりに、水色の空には白い飛行機雲が描かれている。


莉「ことは、俺に振るようお願いしてたけどすごい無理してそうでした」


「そっか……」


莉「あいつ、勉強面では全体的にはすごい良いってわけじゃないですけどね。でも英語だけは、結構良かったんで！ 心配いらないですよ！」


あっけらかんと笑う莉犬くん。


「そうなんだ……それに、留学ってわけじゃないんだから、お父さんとお母さんもちゃんといるし、大丈夫そうだね」


莉「はい！ 絶対！」


いつものように明るく笑う莉犬くんに、私はふふっと微笑んだ。

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