【スタマイ】捜査一課の女神様 (ページ33)

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「あの、あれからAさんは出勤されてないんですか？」

偶々一課の服部班と集まった泉は聞いてみた。

「出勤はしてる。完全に線引きされて取りつく島もないけど」

「仕事はきっちりこなして定時であがるか残っても１，２時間程度だしな」

「相変わらず凄い人ですね。一週間それを続けられるって……ペアでも組んでるんですか？」

「ワンマンですよ。彼女は一人の方が仕事が早いですから。一度、成績がいまいちの方と組んでいただきましたが、相方を顧みないで終わらせてしまった経緯があるので下手に組ませられませんしね」

「だが、昼休みなら隙は生まれるだろう。食事を取ったり休憩を取ったり」

と由井が入ってきた。

「まさか。彼女が休み時間に休んでいるのを見た事ありませんよ」

「ならあれはいつ寝ているんだ？仕事終わりに研究所と治験患者のところを何往復もしている。一度休憩を一時間程度とったら朝までまた繰り返すんだぞ？」

「その一時間でねているんでしょ」

服部がなんてこともないように答えた。

「え、それショートスリーパーの次元超えてますよ」

著名人の短時間睡眠だって３～４時間のはずだ。

「寝つきの良い子だからね。夢を見る前に起きるようにしているんだろうね」

碌な夢をみないから、と服部は自分の机にある書類に目を向けて少し眉間に皴を寄せた。

「それは……？」

「あの子の首輪」

ほれ、と手渡されて泉と青山、由井は書類に目を通した。

読み終わると三人とも目を見開く。

「入らないんじゃなくて、入れないんですか。スタンドにも、服部班にも。なんなんですかこれ」

そこには、服部耀に直接手を組むこと、そしてこれから組織されるものに一切組しないことなど理不尽な内容が書かれてあった。

「ここまで飲んで飯島Aは何を望んだ？」

「交番への左遷をしないこと。彼女がいくら成功を収めても本部に揉み消されてしまえば両親の仇を目にすることすらできないだろうからね」

こればかりはどうしようもないと服部は溜息を吐く。

「聡介さんはこれを全て知っていたということですか？だったらなんで止めなかったんですか」

「利益にならないから。左遷させないために金を流すよりも、一人が黙っていれば済む話なら彼はそちらを選ぶ。その金で後々自分達の首を絞める羽目にならないようにね。それに彼の中では俺は要らない存在なんだろうね」

とどこか嘲笑めいた笑みを浮かべた。