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大体を見て回ってきた二人が戻って来る。
「Aちゃん、どう思う?」
「『ただの』暴行事件ですかね」
「ってことは車から出て来た紙の束みたんだ」
「見てないですよ。狙いがあからさますぎるだけです」
確かにと芝はAと笑う。
荒木田は眉間に皴を寄せるだけだった。
Aはよしよしと荒木田の頭を撫でる。
「撫でるな。だいたい、なんでお前が狙われてるんだよ」
Aは困ったように笑みを浮かべると軽く辺りを見渡す。
そして主要人物以外は後片付けに勤しんでるのを確認すると荒木田を見る。
「そうだね、ここで言える程度のことは」
しかし、一点を見つめると口を閉じた。
「随分と余裕そうだな」
と他の警察官が来る。
その言葉と様子に芝は「げっ」というが男は気にした素振りを見せない。
「おや、応援が増えるなんて聞いてないけど」
笑みを浮かべたAは荒木田を片手で後ろへやる。
「恐らく手こずっていると思ってな、怪我人出ているんだろ?」
「怪我人……」
聞いてないと首を振る。
「お前の事だろ。此処での怪我人はお前しか居ないだろ」
荒木田の呆れるような言葉に更にAは首を傾げる。
「これは関係ないでしょ。別件だもの。それに当人同士で和解という方向に話が行っているはずだし」
丁寧に包帯を巻かれている腕を振る。
途中で起きていた桐嶋の方を見ると罰が悪そうな顔をしている。
「それに、応援を呼ぶときに負傷者が居るなんて言ってないし。もしかして、誰か怪我する予定でもあったのかな」
その言葉に男はたじろいだ。
「とりあえず、ここの捜査は俺が」
「結構。どうしてもこの現場が欲しいなら正式に捜査指揮権を貰ってからもう一度私のところに来て?」
男が悔しそうに何かを言おうとしたがAは矢継ぎ早に言葉を投げる。
「どうしたの?戻らなくていいの?私を黙らせたいならそれ相応のものを用意してもらわないと。あぁ、そうだ、戻ったついでに香水でも買って振りまいたら?今の貴方、とっても臭いもの」
そう言われた男は眉間に深く皴を寄せた。
「恥をかかせようってか?今朝もしっかりシャワーを浴びて来たけど」
まぁ、そこまでいうならと男は帰っていく。
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作者名:弥生 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/personal.php?t=hakuoukiyayoi http://
作成日時:2022年4月22日 0時