【歌い手】ストックホルム症候群【あほの坂田】

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題名のストックホルム症候群とは
ただの医療用語です。深い意味はありません。ごめんね。
作者にそんな脳みそありません、ごめんね。



・


「せん、せい…何言って…」


自分の声が震えているのがわかる。

怖い。先生が、怖い。


先生が一歩、私のほうに近づいてくる。
震える足で後ずさる、そしてまた一歩、一歩
先生が近づいてくる。


「ふふ、そんなに怖がらなくてもいいんやよ？」


逃げ続けても壁に囲まれたこの場所ではいつか壁に遮られてしまうもので
いつの間にか壁に追いやられてしまう。


殺される。



先生の手が伸びてくる。
成す術もなくぎゅっと目を瞑ると、

先生の手が私のカッターシャツに触れる。


「せ、んせい？」

先生は、ボタンを一つ外す。
これは、


顔に熱が伝わり、同時に恐怖が体全体を駆け巡る。
逃げなきゃ、
頭でわかっていても足が動かなくて



「ぶはっ…ｗ」


突然先生が吹き出して笑い始める。


「もしかしてこーいうの初めて？

クラスのみんなにいじめられとんのやったら
男子にもこういうことされてんのかと思ってたけど…。」


唖然とした。



あんなにも明るく笑えるような人が、
こんなひどい人間だと思わなかった。

坂田先生が
こんな、人間だと思わなかった。


初めて人に対して怒りを覚えた。


今日は初めての事ばかりだ。




私は無意識に先生に怒鳴りつけていた。



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