四月八日 ページ2
四月八日、入学式
今年から、私は高校生
周りを見渡せば入学を喜んでいる同級生とその親族
そのキラキラとした雰囲気に耐えきれず、私は一人で誰もいない日陰に入る
「(やっぱり、来てくれない)」
両親はいる
虐待されているわけでもない
ただ、あの人達は私に興味が無い
保育園の入学式にはいた
写真があった
私はおばあちゃんに抱っこされて、両親はその左右で真顔でいる
幼稚園の入学式はいなかった
おばあちゃんが入学式の帰りにケーキを買ってくれた
両親からは『おめでとう』の一つもなかった
小学校の入学式は一人だった
幼稚園を卒園する前に、おばあちゃんは寿命で死んでしまった
両親は泣きもしなかった
中学校の入学式も一人だった
同じ小学校の子がいたが、会話することなく帰った
帰りにケーキを買い、自分で自分に『おめでとう』と言った
校舎の人が少ないところで蹲り、入学式が始まる時間まで過ごそう
校門の方からは楽しそうな声
帰りたくなった
「ここにいたのか、弥生」
「…おはよー、かずくん」
「こんな所でいると汚れるぞ。ほら、立てよ」
「別にちょっとくらいなら汚れてもいーよー。新しいの買えばいいしさ〜」
「いや、入学早々、制服買い換えるってどんな高校生だよ」
「こんな高校生でーす、あはは」
「ハァ…」
かずくんは相変わらず心配性です←
ちなみにかずくんこと、北條一葉くんとは同中出身である
どういう経緯で知り合ったかは忘れちゃったけど、なんかお兄ちゃんみたいな人
兄弟とかいないからわかんないけど←
「ねー、今って何時ー?」
「今?今は、えーっと、ん?スマホがねぇ…」
「えー、ダメじゃん、かずくーん」
まあ、自分ので見ればいいんだけどね
「うるせー、自分ので見ろ」
「はーい。あ、もうすぐ入学式だ」
「もうそんな時間か。ほら、早く行くぞ」
「立てなーい。手、引っ張って〜」
「はいはい」
差し出された手を取り、そのまま歩き出す
やっぱりお兄ちゃんみたい
「今年の入学式は楽しいな〜」
「…、帰りにケーキ買ってやるよ」
「ほんと!?やった〜。そうだなー、何のケーキにしよっかなー」
「高いのはやめろよ?」
「はーい」
やっぱり、今年の入学式は楽しいな
これが、一度目の四月八日の出来事
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