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私じゃ ページ6

朝ご飯の片付けも終わり、掃除も一通りし終え、一段落付いたあと私は町に出ていた。


このどうしようもない暗い気持ちを少しでも誤魔化そうと甘味処巡りをしていたのだ。


甘味は好きだ。

昔、まだお見合いをしてすぐの頃、優しかったあの人が何度も連れて行ってくれた。


あの時は優しかったのにな………


今でも時々考える。

私がもっと完璧な女性で、他の人にはないような魅力があったのなら、彼は今でも優しかったのだろうか。

どこで間違えてしまったのだろう。


毎日毎日必死に生きて、昨日よりも成長した自分で居られるように努力もした。

何を言われたって朗らかに笑っていたはずだし、

不満を言われたら直ぐに謝った。


……………なんて、そんなのきっと私の自己満なんだろう。

誰にもまだ認められてない。

人が求めてくれるような魅力なんて、ない。


────もっと頑張んなきゃ。

────もっと努力しなきゃ。


────もっと、もっと、もっと、もっと。


───────私を…………




「A…?」


『た、炭治郎…………どうしてここに』


そうだ。

ここ、炭治郎と行った甘味処だ。

無意識の内にこんな所にまで来てしまったのか。

やってしまった、と素直に思う。

あれだけハッキリと酷い振り方をしたのにも関わらず炭治郎の目は変わらない。

誰もを包み込む優しい目。

……全てを見抜いてしまいそうな、そんな目。


その目に見つめられると全部投げ出してしまいたくなる。

どうしようもなく泣きたくなる。


炭治郎は私の事はほとんど知らない。

何も話してないのに、気遣ってか聞くこともなかった。

そんな優しさにずっと甘えてしまっていた、と思う。


でも。このままじゃ駄目なんだ。

炭治郎にだって迷惑だ。


振ったんだ。

だったらもっと酷い接し方をしよう。

最低だって分かってる。でも、それで私を嫌ってくれるなら、もう後戻りは出来ない。

炭治郎も素敵な女の子と出逢える。

彼ならきっと、幸せになれる。



私じゃ、駄目だから──

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作者名: | 作成日時:2020年11月22日 19時

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