173:少女、入学 ページ3
先生に呼ばれ着いてきた先は入学式が行われる講堂だった。ステージ下の隅、先生達の少し後ろに配置され
「見学許可はとってある」
『え』
さらと告げたカルエゴ先生を凝視し、ふと思い当たる。…もしかして
『私が…去年の入学式、出てないから?』
「…雑用係だ。オイ笑うな」
『〜〜ッふ…、っふふ…!…はいっ。頑張ります、雑用係!』
ぎゅ、と心臓のつもりで制服のリボンを掴む。緩む頬を片手で隠した。
そういえばあの子はどうしただろう。先生の横から講堂を見渡し、その数の多さに肩を落とす。
「なにを捜してる」
『さっき、具合悪くなっちゃった子がいて。2本角でソバカスのある、…どこかで会ったことあるような』
「…お前はまた」
『え?や、今回はべ、ッつに?!』
咄嗟に両耳を抑えた。歓声の矛先は理事長として登壇したおじいちゃん。暫く止みそうにないと思った轟音が、咳払いひとつで静まる。
『、ゎ…』
2頭身状態で号泣していた朝の姿とのギャップが凄まじい。
大悪魔、三傑…学園理事長。次期魔王候補。でも、やっぱり
『(“おじいちゃん“が1番いいなぁ)』
魔ナスが苦手で、一緒にゲームもしてくれて、朝のお散歩が好きな、やさしい…
「我輩の可愛い可愛い入間くんとAちゃんが2年生に進級しましたーーー!!ハイこれポスター!」
『(前言撤回ッ――!!)』
タァン!と音をたて掲げられた入間と私のツーショッ…いやあれ朝4人で撮ったやつ!切り抜かれてる!?
「2年生になり益々可愛さに拍車がかかっておりまして!もう鼻高々!入間くんはよく食べAちゃんは頑張り屋さんで〜!あっこちらのポスターは後ほど配布します」
『な゙ッ、ぁ、ぁゎ゙…!』
よく叫ぶのを堪えたと思う。動揺と恥ずかしさでガクガク震える私をカルエゴ先生が隠すように立ち、マーチ先生達に「回収!」と指示した。嘆きながら引きずられてくおじいちゃんを見送りつつ配布阻止を決意する。
「ハァー…。隠れていろ」
『す…すみませ…』
体を縮こませ、少しでも擬態しようと“チェルコ“でそっと制服の色を黒へ変える。カルエゴ先生は粛々と進行に戻り
「新入生代表、
クロケル・チマ」
『っえ』
憶えのある名前に顔を上げる。
壇上で挨拶を読み上げるのは…大武闘会で会ったケロリちゃんの妹の
『(チマちゃん!)』
挨拶が終わり目が合う。
カルエゴ先生が式終了を告げ…そして
『(あ、…れ
睨まれて、る?)』
そう気づいたときには、…氷のような視線に見上げられていた。
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夜雨(プロフ) - 名無し11981号さん» コメントありがとうございますー!!随分と熟睡できない日々を過ごさせてしまいました…^^ようやく7章始動となります!これからも愛読してくださると嬉しいです…! (2023年3月30日 11時) (レス) id: 2b5b6ce78a (このIDを非表示/違反報告)
夜雨(プロフ) - kanayamamoto112さん» お待たせしました…!7章開始になります!ゆっくり更新になりますがそのぶん楽しんでいただけるよう頑張ります^^次の章でも夢主ちゃんは大変な目に遭います!(鬼) (2023年3月30日 11時) (レス) id: 2b5b6ce78a (このIDを非表示/違反報告)
夜雨(プロフ) - カキフライさん» 閲覧、コメントありがとうございます!お待たせしました7章開始となります!こちらも楽しんでいただければ幸いです^^ (2023年3月30日 11時) (レス) id: 2b5b6ce78a (このIDを非表示/違反報告)
夜雨(プロフ) - ユノンさん» 閲覧ありがとうございますユノン様!本日7章開始となりましたー!よろしければ引き続き見てやってください^^ (2023年3月30日 11時) (レス) id: 2b5b6ce78a (このIDを非表示/違反報告)
名無し11981号(プロフ) - 一章からまとめて読みました!!続きが気になりすぎて寝れそうにありませんw.続き楽しみにしてます!!更新頑張ってください! (2023年3月20日 21時) (レス) id: c91637211e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:夜雨 | 作成日時:2022年6月6日 18時