172:少女、既視 ページ2
「(ふらふら する)」
周りの熱気と正反対にさあっと頭が冷え、視界が暗やむ
それから、ぐ、と体が重たくなって
「(ぁ やば)」
――たお、れ
『大丈夫っ…?!』
「、ぅ…」
『…ちょっと、ごめんね。目、瞑ってると少し楽だよ』
フラクタル、と聞こえれば、軽くなった体を包む柔い体温と甘い香り。少しして喧騒が遠のき浮遊感が消える。横抱きに運ばれていたと気づいた時には、既にベンチの上だった。
『魔リンゴ味、食べれる?』
「は…ぃ」
『くち、いれるね』
ぺと。唇についた何かからつたう魔リンゴ味。…飴?
舌の上で転がしていれば、だんだん頭の靄が晴れて
「すみ…ませ…なんか、圧倒、されて」
『ね。パレードみたいでびっくりしちゃった』
頭の下の膝が僅かに揺れた。…笑って、る
僕みたく怖気付いてなんてない。どころか、この状況を楽しんで…
「っ…、ぼく…この先、うまくやってけるのかな…っ…」
弱音が溶けた飴のように滲む。
こんな情けないさまの自分がバビルスの生徒であっていいのか
不安で、…足が竦んで
――こわ『上手くやろうとしなくてもいいよ』
殆ど反射で目を開けた。
飛び込んだ制服の襟には、ふたつの
『上手く。ちゃんと、って…つい気を張っちゃうけど。
だってね、もう毎日いろんなことがおきるの!楽しくって大切で、なんにも取り零したくない!って願うくらい。
先生達や先輩も一見近寄り難いけど…真っ直ぐ向き合ってくれる。絶対、力になってくれる。貴方のクラスメイトになるひとたちも、きっと。だからね
いつでも、誰かを頼っていいんだよ。』
まるで宝物を披露するように――彼女は言った。
言葉を反芻するたび胸が騒ぐ。こんなにも穏やかで、あたたかい悪魔がいるなんて…っ
『って…ほぼ受け売りなんだけど』
「あ、あの!おなま「A!」ッえ?」
息を切らし駆け寄ってきたひとが彼女の肩を掴む。その袖には2本のライン。
や、ていうか、いま
『入間!』
「え?!」
「はぐれてゴメンっ!よかった…!」
「Aち!おはよー!」
「貴様、何故Aの膝上に頭を゙…」
「ヒィ?!」
「その色もお似合いね、Aちゃん♡」
「ヌ、迷子か?A」
慌てて飛び起きたそこには、先程まで喧騒の理由だった
「あッあぶのーまるッ!?」
『えと、具合どう?』
「ハイ!メッチャ元気です!」
『式まで時間あるし無理しないでね。あ…!それと、
入学おめでとう!
貴方も
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夜雨(プロフ) - 名無し11981号さん» コメントありがとうございますー!!随分と熟睡できない日々を過ごさせてしまいました…^^ようやく7章始動となります!これからも愛読してくださると嬉しいです…! (2023年3月30日 11時) (レス) id: 2b5b6ce78a (このIDを非表示/違反報告)
夜雨(プロフ) - kanayamamoto112さん» お待たせしました…!7章開始になります!ゆっくり更新になりますがそのぶん楽しんでいただけるよう頑張ります^^次の章でも夢主ちゃんは大変な目に遭います!(鬼) (2023年3月30日 11時) (レス) id: 2b5b6ce78a (このIDを非表示/違反報告)
夜雨(プロフ) - カキフライさん» 閲覧、コメントありがとうございます!お待たせしました7章開始となります!こちらも楽しんでいただければ幸いです^^ (2023年3月30日 11時) (レス) id: 2b5b6ce78a (このIDを非表示/違反報告)
夜雨(プロフ) - ユノンさん» 閲覧ありがとうございますユノン様!本日7章開始となりましたー!よろしければ引き続き見てやってください^^ (2023年3月30日 11時) (レス) id: 2b5b6ce78a (このIDを非表示/違反報告)
名無し11981号(プロフ) - 一章からまとめて読みました!!続きが気になりすぎて寝れそうにありませんw.続き楽しみにしてます!!更新頑張ってください! (2023年3月20日 21時) (レス) id: c91637211e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:夜雨 | 作成日時:2022年6月6日 18時