神様にもわからない＃2 (ページ9)

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今日は大変な一日だった。

とはいっても、シトロンの追手事件くらいなものだけど、荷物を抱えて走るのは体に堪えた。

しかし忘れていた事にも少し動揺した。

何度も読んだのに18年という月日が忘れさせたのだろうか？

それにしても、あの後、いづみの様子が一瞬変だった気がした。

私を見る目が、まるで私を怪物と呼んだ昔の団員たちのように見えた。

私の見間違いかもしれないけど、もしかしたらいづみが私の事をあまりよく思っていないのかもしれないという事は頭の片隅に置いておいた方がいいかもしれない。

いづみ「え！？」

突然いづみの大きな声が下から聞こえた。

窓を開けて覗くとバルコニーに人影が見えた。

至といづみだ。

一体何事だと思い聞き耳を立てた。

至「もともと俺、浮いた家賃と食費をネトゲにつぎ込もうと思ってこの劇団に入ったんだ。
演劇にも興味ないけど、稽古でて、脇役でもやるくらいなら何とかなるかと思ってさ」

知ってた。

でもいづみはそんなことは知らないから、少しショックを受けているみたいだ。

そんないづみに、至は劇団を辞める宣言をした。

他のメンバーと比べても、熱量が違うのは分かっていて、自分だけ場違いな気がしていたらしい。

それから、早いうちにやめた方が他の人を見つける時間もあっていいと思っての事らしい。

至「そういう訳だから、皆には明日話そうかと」

いづみ「待ってください！演劇には今でも興味ないんですか？
みんなと舞台に立つことなんて、どうでもいいんですか？」