神様にもわからない＃2 (ページ8)

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いづみ「ど、どうしたの？突然」

シトロン「黙って」

通りの方を気にするシトロン。

シトロン「…ワタシ、劇団に迷惑かけるかもダヨ」

いづみ「どういう意味？」

シトロン「実はワタシ、留学しに来たわけじゃないヨ。国から逃げてきたネ」

いづみ「え！？」

「何かに追われてることは気付いてたけど、まさか国から逃げてきてたなんて…」

覚えていなかった。

こんなにもインパクトのある出来事も、18年も時が経つと忘れてしまうらしい。

それからシトロンは悪いことをしているわけではなく、奴らにとって自分が目障りだから終われていると説明し、捕まると連れ戻されるとも言った。

このまま劇団に居たらみんなに迷惑を掛けるから、いない方がいいというシトロンにいづみは劇団の一員なんだからと引き留めた。

シトロン「どうしてそこまで…」

いづみ「だって公演には絶対に皆揃って出てもらわなきゃ。
シトロンくんが活舌やイントネーションの事ですごく努力してるの、知ってるよ。お芝居もどんどん良くなってる」

「うんうん、シトロンの上達には目を見張るものがあるよ」

いづみ「何より、すごく楽しそうに稽古してくれるのが嬉しい。
それにシトロンくんのおかげで空気が和むし、皆にもいい影響を与えてくれてるでしょ。
私だけじゃなく、皆シトロンくんと一緒にやっていきたいと思ってるはずだよ」

シトロン「ありがとう」

いづみ「シトロンくんは大事な団員なんだから、当然だよ」

シトロン「ワタシ、カントク信じてついて行くネ」

シトロンはいづみの手の甲にキスをした。

シトロンの国では普通のことらしいがこの国では普通じゃない。

いづみは顔を真っ赤にして照れている。

「いづみ、顔真赤」

シトロン「カミサマ、これからも日本語たくさん教えて欲しいネ」

「うん。いづみお姫様が満足いくお芝居が出来るように、頑張ろうね」

いづみ「……」