神様にもわからない＃2 (ページ33)

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天馬宛に置手紙を書いて、荷物をまとめて悠里さんと病院に来た。

海さんの病室はとても日当たりが良くて柔らかな風の吹きこむ、中庭の見える部屋だった。

とても穏やかなその部屋が、私の不安を余計に煽る。

悠里「海、神佐ちゃんを連れてきたよ」

「海さん、海さん…！」

海「A…？幻かな…悠里さん、Aがいる」

「……！…海…さん…」

悠里「幻じゃない。神佐ちゃんが来てくれたんだよ」

痩せこけて、昔の姿なんて見る影もない。

澄んだ綺麗な海のようだった瞳は、薄膜に閉じ込められたみたいに濁っている。

私はこんな海さんになって欲しかったんじゃない。

どこで、何を間違えたんだろう。

そもそも私がこの世界に来ていなければ、海さんだってこんな事にはなっていなかったはずだ。

「海さん、私はここにいるよ。手を握ってるよ」

海「A…会いたかった。ずっと、ずっと、会いたかった」

「ごめんなさい海さん、私のせいで」

海「俺が、弱かった、から。A、の、せいじゃない。会えて、嬉、しい」

「海さん…？」

海「……」

「海さん！？」

悠里「先生呼んでくる」

僅かに力のこもっていた枝のような指が、本物の枯枝のようになっていく。

せっかく会えたのに、このまま死んでしまうなんて嫌だ。

悠里さんが呼んできた先生が海さんを診て、眠っているだけだという言葉を聞くまで、上手く息が出来なかった。