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「団長、明日はその嬢ちゃんに返すモン返したら、ちゃちゃっと返ってきてくれよ。破鳥の奴らとの打ち合わせ入れたんでね」
「めんどくさいなぁ。打ち合わせなんて、阿伏兎がテキトーにやっといてよ」
「テキトーにやるにも、団長が同席しなきゃウチの面子が立たねぇだろ」
「それもそうか」
「金はちゃんと嬢ちゃんに返してくるんだぞ」
「もちろん。迷惑かけたし、封筒に10万入れといたから、それを渡すよ」
そう言って神威はお札の入った封筒を懐に仕舞う。
Aは無事に帰れたのだろうか、と神威は昼間に出会った少女のこと考える。
果たされない約束の時間は、刻一刻と近づいていた。
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神威と別れた後のAは、涼しい時間になるまで近くのショッピングモールで時間を潰そうと繁華街に向かう道を歩く。エアコンなんて贅沢品はAの家には無い。夏は店で涼むものである。
裏道の方が日陰が多いからと、薄暗い裏路地を一人で歩く。どうせお金もすっからかんだし、カツアゲされても困りはしない。失うものがない無敵状態の高揚感。
そんな高揚感はただのまやかしであり、無敵なんかじゃないのをAは直後に思い知ることになる。
突然、後頭部を殴られ、状況が解らないままに意識を失った。
ドサリと倒れたAを、フードで顔を隠した天人が乱暴に運ぶ。
かくして、Aは神威との約束を守ることができなくなる。
止まることなく時間は流れ、Aと神威が出会った翌日の夕暮れ時がついにやってきた。
沈みゆく夕日を眺めながら、神威は呟く。
「来ないなぁ、A」
太陽が地平線に隠れてからも、まだほんのり明るい。
それでも、待ち人の来ない黄昏時は、あっという間に過ぎてしまう。
「……これ以上は待てないな」
すっかり暗くなっても、結局Aは現れなかった。結構な大金だし、扇子も忘れていたから、必ず取りに来ると思っていたのに。
それとも、悪党だなんて言わなきゃよかったのかもしれない。
そんなことを考えながら、神威は阿伏兎の言いつけ通り打ち合わせに参加するべく宇宙船に戻った。
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夢宵桜(プロフ) - 琥珀糖さん» 読みにくくてすみません…。配色を少し変えてみましたが、如何でしょうか。 (4月1日 6時) (レス) id: 77ab0362c3 (このIDを非表示/違反報告)
琥珀糖(プロフ) - 色盲とかではないのですが、背景と文字の色が同系統すぎて読めません。可能でしたら変更して頂きたいです。 (4月1日 1時) (レス) id: 02d9a0ed5d (このIDを非表示/違反報告)
夢宵桜(プロフ) - 名無し5059号さん» 見えない色と見える色を教えて頂けますか? 私は色盲についての知識が浅いため、今の配色のどの部分が見えないか教えて頂けたら、対処法を考えられるかもしれません。 (2月16日 23時) (レス) @page46 id: 77ab0362c3 (このIDを非表示/違反報告)
名無し5059号(プロフ) - 色盲で文字が見えないけど対処法ありますか? (2月16日 22時) (レス) @page1 id: 427c7b5a4d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:夢宵桜 | 作者ホームページ:https://lit.link/dreamfairy
作成日時:2023年12月13日 23時