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 極寒の地で畑仕事(にくたいろうどう)をしてきた農民は、第七師団にも負けず劣らず奮戦している。どうも、ただの農民にしては動きが良い。
 神威は軽やかな身のこなしで、次々とそんな敵を沈めていく。

 戦闘は楽しい。返り血が自身を潤す。この時間だけは、他のことを忘れられる。神威から鋭い笑みがこぼれた。

「神威……」

 あの日、破久星で見た、返り血を浴びて笑う神威は、幻ではなかったのだ。

──やっぱり、見間違いじゃなかったんだ。

 戦場を嬉々として駆け回る姿は、恐ろしくて、でも危険な美しさがあって。

──目が、離せない。

 惹き付ける何かがあった。

「A、立てる?」

 全て倒しきった神威が、いつもの調子で手を差し伸べてきた。さっきまでの獰猛な笑みはない。
 手を取ってふらふらと立ち上がる。

「よっこいしょ……ぶぇっくしょん!」

 緊張が解けた瞬間、着の身着のままで薄着だったAは寒かったことを思い出した。

「しょうがないなぁ」

 神威が羽織っていたマントを被せられる。さっきまで神威が身につけていたマントは温かかった。


 風が強まり雪が吹雪になる。そのせいで視界が悪い。目の前が真っ白だ。前後左右、どこから来て、どこに何があるのかさっぱりわからない。さっき逃げていた森すら見えない。

──もしかして、敵は天候を読んでいた……?

「神威、私達遭難してない? これがこの星の戦い方……?」

「どうやら、敵の目的は第七師団(おれたち)を分散させて、遭難させることだったみたいだね」

 この星の気候を知り尽くした住民の、策略に嵌ったようだ。

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夢宵桜(プロフ) - 琥珀糖さん» 読みにくくてすみません…。配色を少し変えてみましたが、如何でしょうか。 (4月1日 6時) (レス) id: 77ab0362c3 (このIDを非表示/違反報告)
琥珀糖(プロフ) - 色盲とかではないのですが、背景と文字の色が同系統すぎて読めません。可能でしたら変更して頂きたいです。 (4月1日 1時) (レス) id: 02d9a0ed5d (このIDを非表示/違反報告)
夢宵桜(プロフ) - 名無し5059号さん» 見えない色と見える色を教えて頂けますか? 私は色盲についての知識が浅いため、今の配色のどの部分が見えないか教えて頂けたら、対処法を考えられるかもしれません。 (2月16日 23時) (レス) @page46 id: 77ab0362c3 (このIDを非表示/違反報告)
名無し5059号(プロフ) - 色盲で文字が見えないけど対処法ありますか? (2月16日 22時) (レス) @page1 id: 427c7b5a4d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:夢宵桜 | 作者ホームページ:https://lit.link/dreamfairy  
作成日時:2023年12月13日 23時

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