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6-2 ページ36



 第七師団の艦隊の一つ、神威達から離れた森の中で待機する艦艇から、雪を眺める少女が一人。

「ぶぇっくしょん!」

 艦内は暖かいはずなのに、見るだけで寒気がしてしまう。雪で白いはずの星なのに、日光が弱いからどんより灰色に見えてしまう。
 Aは神威達がどんな仕事をするか知らされていない。ただ、上からの仕事が入った、それだけ言われて神威から待機命令を下された。

 しかし、Aとて馬鹿ではない。宇宙海賊が、降り立った星で友好的に振る舞うなんて思っていない。特に、第七師団は戦闘を得意とする最強部隊だ。
 この小さな灰色の星は踏み荒らされてしまうのだろうか。

 そうなれば、ただの一般市民たる農民には為す術がない。力無き者は強者に翻弄され、簡単に葬り去られてしまう。“その他大勢”の命は軽いのだ。

 それは、Aも同じ。彼らとの違いは、たまたま運が良かったというだけである。

 とはいっても、今回は春雨本部からの仕事だから、破鳥のときのように好き勝手介入することは許されない。介入したところで、何も成し遂げることなく無駄死にするか、春雨内での第七師団の立場を悪くして死ぬか、くらいしか未来が見えない。

 Aの行動で、神威と阿伏兎の立場が悪くなるのは望まない。悪党と言えど、自分に良くしてくれる人達への恩を(あだ)で返すような真似はしたくない。
 それに、丁重に扱ってくれているあの二人から殺意を向けられるのも、きっと楽しくない。すぐ死ぬだろうし。

 だから、大人しく眺めている。

──ただの一般人が、春雨相手にどうこうできるわけないからね。

 自分の安全すら自力で確保できないのに、他人の安全まで確保できるわけがない。

 わかっていても、気持ちは追いつかなくて。でも、自分の命を危険に晒してまで他所(よそ)の星の民を助ける義理なんて無くて。

 弱者たるここの住民と、Aは同じだから──。

 なんて、センチメンタルに感傷に浸っていたせいだろうか。異変に気づかなかった。
 突然、執務室の窓が割られ、Aは囲まれていた。

 さっきまで哀れんでいた、詩辺螺星の農民に。

6-3→←6.勝ち負けには拘るな(上)



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夢宵桜(プロフ) - 琥珀糖さん» 読みにくくてすみません…。配色を少し変えてみましたが、如何でしょうか。 (4月1日 6時) (レス) id: 77ab0362c3 (このIDを非表示/違反報告)
琥珀糖(プロフ) - 色盲とかではないのですが、背景と文字の色が同系統すぎて読めません。可能でしたら変更して頂きたいです。 (4月1日 1時) (レス) id: 02d9a0ed5d (このIDを非表示/違反報告)
夢宵桜(プロフ) - 名無し5059号さん» 見えない色と見える色を教えて頂けますか? 私は色盲についての知識が浅いため、今の配色のどの部分が見えないか教えて頂けたら、対処法を考えられるかもしれません。 (2月16日 23時) (レス) @page46 id: 77ab0362c3 (このIDを非表示/違反報告)
名無し5059号(プロフ) - 色盲で文字が見えないけど対処法ありますか? (2月16日 22時) (レス) @page1 id: 427c7b5a4d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:夢宵桜 | 作者ホームページ:https://lit.link/dreamfairy  
作成日時:2023年12月13日 23時

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