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6.勝ち負けには拘るな(上) ページ35



 しんしんと降り続ける雪。
 太陽から距離が離れてるがゆえ、気温が上がることのない、常冬(とこふゆ)の星。いつ見上げても空はどんよりとした雪雲に覆われていて、光差すことはない。

 詩辺螺(シベラ)星。これがこの星の名前である。
 そこに、傘を差す人影が二人。

「雪にまみれて仕事たァね」
「陽の光がなくて、いいじゃないか」

 ぼやく阿伏兎に、神威が軽く返す。
 これから神威率いる第七師団がやる仕事は、この星をひっくり返すことである。

 詩辺螺星は雪ばかりの農村のような小規模な星である。一見何もないように見えるが、実は極寒のここでしか栽培できない植物があった。
 陶然郷(とうぜんきょう)という、麻薬(クスリ)の原料である。再来郷は転生郷に次いで中毒性が強い。

 転生郷は存在が明るみに出始めてから規制が厳しくなったので、春雨は違う成分の陶然郷に変えて商売を継続させた。

 陶然郷の原料である陶然草は、直射日光の当たらない寒い土地でしか育たない。だから、雪雲に覆われた常冬の詩辺螺星は格好の栽培場であった。
 そこに目を付けた国王は春雨と癒着し、農民から徴収した陶然草を高額で取引していた。

 ここまでが、詩辺螺星の前提。
 どうも最近、その国王様が暗殺されたらしい。

 それならばいっそ、混乱に乗じて星ごと植民地にしてしまう方が早い。

 そのための、星の占領が今回の第七師団の仕事である。
 シンプルに言うと、星を植民地化するためにそこの兵士を捩じ伏せる、ということだ。

 いずれは詩辺螺星を春雨の土地にするつもりだったのだろう。国王暗殺を機に、春雨はこれ幸いとばかりに動き始めた。

「さて、どいつが一番強いかな」

「厳しい寒さで訓練された兵がいるって噂だぞ」

「それは楽しみだ」

「やれやれ、こーんな(さみ)ィ場所でお祭り騒ぎなんてする奴ァ馬鹿しかいねェよ」



作者のつぶやき
転生郷はハム子がシャブシャブにされたやつ(適当)

6-2→←5-8 変化



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夢宵桜(プロフ) - 琥珀糖さん» 読みにくくてすみません…。配色を少し変えてみましたが、如何でしょうか。 (4月1日 6時) (レス) id: 77ab0362c3 (このIDを非表示/違反報告)
琥珀糖(プロフ) - 色盲とかではないのですが、背景と文字の色が同系統すぎて読めません。可能でしたら変更して頂きたいです。 (4月1日 1時) (レス) id: 02d9a0ed5d (このIDを非表示/違反報告)
夢宵桜(プロフ) - 名無し5059号さん» 見えない色と見える色を教えて頂けますか? 私は色盲についての知識が浅いため、今の配色のどの部分が見えないか教えて頂けたら、対処法を考えられるかもしれません。 (2月16日 23時) (レス) @page46 id: 77ab0362c3 (このIDを非表示/違反報告)
名無し5059号(プロフ) - 色盲で文字が見えないけど対処法ありますか? (2月16日 22時) (レス) @page1 id: 427c7b5a4d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:夢宵桜 | 作者ホームページ:https://lit.link/dreamfairy  
作成日時:2023年12月13日 23時

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