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次第に意識が戻ってきたのか、いつの間にか目の焦点が定まっていた。澄んだ青い瞳が、ハッキリとこちらを捉える。
「ありがとう、助かったよ。日光が苦手でね。俺は神威。君は?」
「私はAA。もう大丈夫? 途中まで送ろうか?」
「大丈夫だよ──」
神威がそう言いかけた瞬間、大きなお腹の音が聞こえた。断じてAの音ではない。そういえば、さっきお腹空いたって呟いていたな。
このまま一人にするのも忍びなくて、Aは食事に誘うことにする。
「この暑さじゃ、エネルギー補給しないとまた倒れそうだね。ご飯食べに行こうか」
「俺、今財布持ってないんだよね。余計な買い食いして無駄遣いしそうだからって、管理されてるんだ」
「そ、それはそれは……」
親に財布を握られているのだろうか。はたまた彼女の尻に敷かれているのか。Aとしては、後者ならこのまま立ち去りたいところだ。要らぬ恨みは買いたくない。
「あー、俺の財布を預かってるのは部下でね、今日たまたま持たせてたんだ。だから、そんな憐れみの目を向けないでおくれよ」
どうやら恨みを買う心配はないらしい。というか、部下ってなんだ。コイツ実は偉い奴なのか。こちとら底辺平社員なのによ。なんて言葉は飲み込んだ。
恨みを買うこともないなら、とAは貧乏人なりの大胆な決断をする。拾ったら最後まで面倒見ないとね。
「倒れた人をこのまま一人にできないし、ここは私が奢るよ。近くに美味しい店があるから、そこに行こう」
「……俺、たくさん食べるよ?」
「男性ってそんなもんよね」
そう言って軽く流した自分を、後からAは全力で殴り飛ばしたくなるが、この時はまだ知る由もなかった。
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夢宵桜(プロフ) - 琥珀糖さん» 読みにくくてすみません…。配色を少し変えてみましたが、如何でしょうか。 (4月1日 6時) (レス) id: 77ab0362c3 (このIDを非表示/違反報告)
琥珀糖(プロフ) - 色盲とかではないのですが、背景と文字の色が同系統すぎて読めません。可能でしたら変更して頂きたいです。 (4月1日 1時) (レス) id: 02d9a0ed5d (このIDを非表示/違反報告)
夢宵桜(プロフ) - 名無し5059号さん» 見えない色と見える色を教えて頂けますか? 私は色盲についての知識が浅いため、今の配色のどの部分が見えないか教えて頂けたら、対処法を考えられるかもしれません。 (2月16日 23時) (レス) @page46 id: 77ab0362c3 (このIDを非表示/違反報告)
名無し5059号(プロフ) - 色盲で文字が見えないけど対処法ありますか? (2月16日 22時) (レス) @page1 id: 427c7b5a4d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:夢宵桜 | 作者ホームページ:https://lit.link/dreamfairy
作成日時:2023年12月13日 23時