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4-10 後始末 ページ26



 さて、時間はAが倒れた場面に遡る。
 神威は抱き止めたときに、Aが持っていないはずの鞄を肩に提げていることに気づいた。

──どっから拾ってきたんだ?

 しかも結構中身が入ってる。

「阿伏兎、Aが殴ってた(きょうき)、拾っといて。この鞄と一緒に、Aのデスクに置いてやって」

「こんな分厚い本見たことねェよ」

「それと、そこの死に損ないは俺達の船の牢にブチ込んでおいて」

「はいはい」

 神威の指示通りに本を拾いながら、ちゃあんと金品回収の命令を団員に下す。

「お前ら、金庫の金を運び込め。他にも金目の物があれば持って来い」

「俺はAを部屋に運んでるから、後始末は阿伏兎が面倒見てね」

 神威はAを抱えて、宇宙船に戻る。
 倒れた瞬間は心配したが、規則正しい寝息を聞いて安心した。ただ寝てるだけである。急に倒れるもんだから、心臓に悪い。

 Aの私室に入った神威は、そっとベッドに寝かせる。閉じられた目元には、涙の乾いた跡が残っていた。

 ずっと気を張っていたのだろう。元凶である破鳥のボスに報復したことで、それが一気に決壊したのだ。

──今は何も考えず、ゆっくり休め。

 神威は無音で部屋を出た。
 翌日、神威がAにキレそうになるなんて、まだ誰も知らない。気遣いを返すなら、今のうち。
 そんな予測不可能なところも、その少女の魅力なのかもしれない。

5.感謝の心は忘れるな→←4-9 助けた人達



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夢宵桜(プロフ) - 琥珀糖さん» 読みにくくてすみません…。配色を少し変えてみましたが、如何でしょうか。 (4月1日 6時) (レス) id: 77ab0362c3 (このIDを非表示/違反報告)
琥珀糖(プロフ) - 色盲とかではないのですが、背景と文字の色が同系統すぎて読めません。可能でしたら変更して頂きたいです。 (4月1日 1時) (レス) id: 02d9a0ed5d (このIDを非表示/違反報告)
夢宵桜(プロフ) - 名無し5059号さん» 見えない色と見える色を教えて頂けますか? 私は色盲についての知識が浅いため、今の配色のどの部分が見えないか教えて頂けたら、対処法を考えられるかもしれません。 (2月16日 23時) (レス) @page46 id: 77ab0362c3 (このIDを非表示/違反報告)
名無し5059号(プロフ) - 色盲で文字が見えないけど対処法ありますか? (2月16日 22時) (レス) @page1 id: 427c7b5a4d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:夢宵桜 | 作者ホームページ:https://lit.link/dreamfairy  
作成日時:2023年12月13日 23時

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