4-9 助けた人達 ページ25
宇宙船から、青い星が見える。
ここは拉致されていた人達が乗っている船。操縦を名乗り出た女性が、破久星での出来事を回想する。
Aと名乗った、自分と同じ地球人の少女は宇宙船の前で意外なことを言っていた。
「私は、まだやることがあるから乗れないの。あなた達は、これで地球に帰って」
攫われてきた身で、せっかく地球に帰るチャンスなのに。不思議な人だ。
「でもね、地球に向かう前に、一つだけお願いがあるの」
「お願い?」
「さっき通った金庫の場所、あそこをブチ抜いて」
金庫と言われて全てを理解した女性は、快諾した。
「いいわ。私達は金庫を破壊したら、そのままここを去る。Aさんとはここで最後の挨拶になるわね」
「お願いします。皆さんお元気で。もう悪いヤツらに拉致されないようにね」
「Aさんは、別の悪党に捕まってしまったみたいね」
女性は、一人だけ助かる予定だった少女に言う。その真意は、誰にもわからない。
「私達を助けてくれて、ありがとう。もし地球で会うことがあれば、そのときはまた」
表に出すことはないが、本当は一人だけ牢を出られたAに嫉妬していた。
けれど、今はもう、そんな感情は消えてしまった。
──あの子は、選ばれるべくして選ばれた。
今はそんな感情さえある。
この状況で全員を救出し、さらに地球へ送り出せる機転の良さと行動力。自分だけ現地に残る度胸。
少女は輝いてた。豪華な煌びやかさではなく、人を惹きつけるオーラとでも呼ぶのだろうか。他の者にはない輝きだった。
「さよなら、宇宙の小さな救世主さま」
「救世主なんて言いすぎだよ。私は自分のためにやっただけ。──さよなら、母星によろしく」
別れの言葉を交わした後、二人は別方向に進んだ。
宇宙船に入る場面を思い出したところで、回想は終了する。
「みんな、もうすぐ地球よ。着陸の準備をして」
Aが助けた人達は、無事に青い星に帰ることになる。
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夢宵桜(プロフ) - 琥珀糖さん» 読みにくくてすみません…。配色を少し変えてみましたが、如何でしょうか。 (4月1日 6時) (レス) id: 77ab0362c3 (このIDを非表示/違反報告)
琥珀糖(プロフ) - 色盲とかではないのですが、背景と文字の色が同系統すぎて読めません。可能でしたら変更して頂きたいです。 (4月1日 1時) (レス) id: 02d9a0ed5d (このIDを非表示/違反報告)
夢宵桜(プロフ) - 名無し5059号さん» 見えない色と見える色を教えて頂けますか? 私は色盲についての知識が浅いため、今の配色のどの部分が見えないか教えて頂けたら、対処法を考えられるかもしれません。 (2月16日 23時) (レス) @page46 id: 77ab0362c3 (このIDを非表示/違反報告)
名無し5059号(プロフ) - 色盲で文字が見えないけど対処法ありますか? (2月16日 22時) (レス) @page1 id: 427c7b5a4d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:夢宵桜 | 作者ホームページ:https://lit.link/dreamfairy
作成日時:2023年12月13日 23時