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「A、そいつは俺が殺そうと思ってたんだ。横取りは許さないよ」
これまたにっこり笑った神威がAに抗議する。
「殺すのは、いつでもできるでしょ。まずはね、苦しんでもらわなきゃ」
Aは笑顔を崩さずに言い返す。
「コイツがいなければ、私は今頃地球で平和に過ごしていたの。コイツがいなければ、春雨だとか宇宙海賊だとか危険な組織に身を置くこともなかった。コイツがいなければ……私は神威から借金を回収できていた……コイツが……コイツが……コイツさえいなければ……」
貼り付けていた笑顔が次第に崩れ、Aの頬は濡れていた。一度緊張の糸が切れると、止めどなく溢れてくる。
感情を持て余したAは、顔を見られたくなくて俯く。小さな肩は震えていた。
ついこの前まで、貧乏なりにも地球で普通に暮らしていた、ちょっと頭が回るだけの非力な少女である。
神威は黙って見ていることしかできなかった。
横を見ると、阿伏兎も言葉に詰まらせているようだ。
不意に、Aが倒れた。
いや、正確には、倒れそうになった。神威が支えて、横抱きにする。
その際、Aはうわ言でこう呟いていた。
「……金庫……お金……回収…………」
先程アジトを爆破していた宇宙船はもういない。金庫を壊したら、戦線離脱して地球に帰る約束をしていたからだ。
こうして、第七師団は無事に黒字で一仕事終えたのである。
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夢宵桜(プロフ) - 琥珀糖さん» 読みにくくてすみません…。配色を少し変えてみましたが、如何でしょうか。 (4月1日 6時) (レス) id: 77ab0362c3 (このIDを非表示/違反報告)
琥珀糖(プロフ) - 色盲とかではないのですが、背景と文字の色が同系統すぎて読めません。可能でしたら変更して頂きたいです。 (4月1日 1時) (レス) id: 02d9a0ed5d (このIDを非表示/違反報告)
夢宵桜(プロフ) - 名無し5059号さん» 見えない色と見える色を教えて頂けますか? 私は色盲についての知識が浅いため、今の配色のどの部分が見えないか教えて頂けたら、対処法を考えられるかもしれません。 (2月16日 23時) (レス) @page46 id: 77ab0362c3 (このIDを非表示/違反報告)
名無し5059号(プロフ) - 色盲で文字が見えないけど対処法ありますか? (2月16日 22時) (レス) @page1 id: 427c7b5a4d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:夢宵桜 | 作者ホームページ:https://lit.link/dreamfairy
作成日時:2023年12月13日 23時