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「攫われた時に取られたと思ったんだけど、アンタが持ってたのね! はわわわ、私の可愛い扇子ちゃんが」
「俺が投げたおかげで、Aが助かったんだからいいでしょ。この子は身代わりになったんだよ」
「そ、そうだけど」

 なんかいい感じのことを言った感出してるのが少しムカつく。
 しかし、そんなやり取りをしていたら、さっきの神威の姿はすっかり忘れたようである。

「とにかく、弁償してね!」
「わかったから。今は扇子よりも自分の心配をしな」
「ハイ言質取った!」

 なんてやり取りをしたのち、Aは寂しそうな笑顔で神威に尋ねる。

「私、やっぱり売られるのかな」

 その問いに、神威は笑顔で応えた。

「春雨第七師団の秘書を勝手に売るような命知らずは存在しないよ。俺が全員殺しちゃうからね」

 喜んでいいのか、怒った方がいいのか。Aにそんなことを考える余裕はない。

「わ、私だって、黙って売られるなんてまっぴらなんだから!」

 啖呵を切って、船室で見つけたピストルを構える。ちなみに、使ったことはない。どうせ狙っても当たらないから、せいぜい威嚇射撃のハッタリである。

「第七師団の秘書……だと?」

 神威の言葉に反応したのは、破鳥のトップだった。

「そう。ちゃんと雇用契約書も結んだんだよ。ウチの秘書は優秀だからね」
「はん。簡単に攫われるこんな弱い生き物のどこが優秀なんだか──」

 ぱぁん!

 言い終わる前にAが発砲した。
 もちろん当たるなんて奇跡が起こるはずもなく。

「ほう。奴隷の癖に、いい度胸だな」

 無視して、Aはわざとらしい困り顔で神威に話しかける。

「こういうのって、会話を成立させてあげる必要ある? なんか腹立つから手に力入っちゃった」
「有能な秘書がいるマウントを取ろうとしてたのに」

 全く不服そうに見えない笑顔で話す神威。視線の先は破鳥の団長である。

「それなら、有能な副団長も自慢してほしいモンだね」

 茶番を繰り広げていると、阿伏兎が合流してきた。

「こっちの雑魚はほとんど片付けた」
「俺の分を残さないなんて、不出来な部下だよ」
「このすっとこどっこい」

 全員が阿伏兎に気を取られているうちに、Aはそっとそこから抜け出した。

──今なら、他の人達を解放してあげられるかもしれない。

 自己犠牲はしないが、勝算があれば動く。正義感なんて大層なモノは持ち合わせていないが、自分の精神衛生のために、できることはする。

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夢宵桜(プロフ) - 琥珀糖さん» 読みにくくてすみません…。配色を少し変えてみましたが、如何でしょうか。 (4月1日 6時) (レス) id: 77ab0362c3 (このIDを非表示/違反報告)
琥珀糖(プロフ) - 色盲とかではないのですが、背景と文字の色が同系統すぎて読めません。可能でしたら変更して頂きたいです。 (4月1日 1時) (レス) id: 02d9a0ed5d (このIDを非表示/違反報告)
夢宵桜(プロフ) - 名無し5059号さん» 見えない色と見える色を教えて頂けますか? 私は色盲についての知識が浅いため、今の配色のどの部分が見えないか教えて頂けたら、対処法を考えられるかもしれません。 (2月16日 23時) (レス) @page46 id: 77ab0362c3 (このIDを非表示/違反報告)
名無し5059号(プロフ) - 色盲で文字が見えないけど対処法ありますか? (2月16日 22時) (レス) @page1 id: 427c7b5a4d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:夢宵桜 | 作者ホームページ:https://lit.link/dreamfairy  
作成日時:2023年12月13日 23時

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