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 神威が楽観視しすぎていたのか、はたまた、わかった上での言葉だったのか。
 いずれにせよ、Aはどうすればいいかわからず、宇宙船の中で立ち竦む。

──出ていって、大人しく売られるべきか、ここで隠れるべきか。

 そこまで考えて、神威の言葉が脳裏によぎる。

──船から出るなって、まさか、こうなることを予想して……?

 それならば、このまま宇宙船から出ずに隠れているのが正解なのだろう。
 でも、自分を匿うために神威達が危ない目に遭うのは嫌だ。

 他に捕まった見ず知らずの奴隷と違って、助けようとしてくれた神威の危機を無視することはできない。それに。

──買い物でお金出してくれる契約、きっちり果たしてもらわないとね。

 神威達第七師団の強さを見たことがないAは、そんなことを考える。

 Aが自分を奮い立たせている間にも、交渉決裂した現場では乱闘が起きていた。

「結局こうなるよなァ。依頼料がパーだぜ」
「今回は予想できてたからね。次に期待だ」

 心配されている当の本人達は、余裕の表情で破鳥の隊員を倒していた。

「どんな強い奴がいるかと思ったけど、全然面白くないや。弱い奴ばっかだよ」

 一瞬、残念そうな表情を見せながらも、涼しい笑顔で敵を沈めていく。
 ちょうど、船から出て、その姿を見たAは。

「神威……?」

 笑顔で返り血を浴びる神威に、Aは目を見開いて固まるしかなかった。

「A、危ない」

 そんな折、動けないAを捕らえようとする人影。
 ここからでは間に合わない。となると。

 神威は懐にあった物を敵の頭に投げつけて気絶させる。
 その衝撃で、投げられた物はバラバラに崩れてしまう。

「あっ、ごめん」

 壊れた物を見て、神威が思わずといった様子で声をあげた。

「Aの扇子を入れてたんだった」
「私の扇子〜〜〜!」

 お亡くなりになった扇子は無惨な姿である。南無三。

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夢宵桜(プロフ) - 琥珀糖さん» 読みにくくてすみません…。配色を少し変えてみましたが、如何でしょうか。 (4月1日 6時) (レス) id: 77ab0362c3 (このIDを非表示/違反報告)
琥珀糖(プロフ) - 色盲とかではないのですが、背景と文字の色が同系統すぎて読めません。可能でしたら変更して頂きたいです。 (4月1日 1時) (レス) id: 02d9a0ed5d (このIDを非表示/違反報告)
夢宵桜(プロフ) - 名無し5059号さん» 見えない色と見える色を教えて頂けますか? 私は色盲についての知識が浅いため、今の配色のどの部分が見えないか教えて頂けたら、対処法を考えられるかもしれません。 (2月16日 23時) (レス) @page46 id: 77ab0362c3 (このIDを非表示/違反報告)
名無し5059号(プロフ) - 色盲で文字が見えないけど対処法ありますか? (2月16日 22時) (レス) @page1 id: 427c7b5a4d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:夢宵桜 | 作者ホームページ:https://lit.link/dreamfairy  
作成日時:2023年12月13日 23時

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