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「明後日、
「わかった」
素直に従う意思を見せるA。
正直、他に捕まった人達を考えると自分だけ助かるのは心が痛いが、無力なAでは自分を助けることすらできない。
下手な正義感で行動したところで、誰も助からない未来しか見えない。
それならば、確実に助かる方を選ぶ。
Aは自己犠牲のできる高尚な人間ではないのだ。自分のことで精一杯。
他の攫われた人も、きっと同じだろう。自分の助かる方を選ぶはず。
世知辛いのが、世の中である。
──気分のいい決断ではないな。
全ては自分の弱さ故。でも、弱いのはAだけじゃない。他の人達だって、弱かったから捕まったのだ。
だから、Aが背負うべきものではない。
それをわかっていても。
「A、今の仕事が終わったら買い物に行くよ」
神威の声で、意識が目の前の食事に引き戻される。
「そういえば、阿伏兎が神威に連れてってもらえ、って」
阿伏兎が気を利かせてくれたらしい。神威の方から買い物を提案してくれた。
「でもさ、今は無一文なんだよね、私」
「じゃあ借金追加で」
金をせびろうとしたら、あっさり躱された。
「じゃあ経費で落としてやる」
「無駄な支出を減らすって啖呵切ったよね」
「む、無駄じゃないもん」
八方塞がりである。早く地球で安全に暮らしたいから、負債は増やしたくないというのに。
「しょうがないなァ。俺のポケットマネーから出してあげるよ」
Aは驚いて神威の表情を確認した。
──これは、本気で言ってる?
ならば気が変わる前に確実にするのみ。
「わーいありがとう! 持つべきものは気前のいい上司だね! ハイこれ買ってくれるっていう契約書。サインお願いしゃーす!」
キラキラした瞳でサインを迫るA。
じりじりと躙り寄ってくる様子に神威はドン引きしている。
「……なんだ、元気じゃん」
Aは興奮のあまり、神威の小さな独り言を聞き逃していた。
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夢宵桜(プロフ) - 琥珀糖さん» 読みにくくてすみません…。配色を少し変えてみましたが、如何でしょうか。 (4月1日 6時) (レス) id: 77ab0362c3 (このIDを非表示/違反報告)
琥珀糖(プロフ) - 色盲とかではないのですが、背景と文字の色が同系統すぎて読めません。可能でしたら変更して頂きたいです。 (4月1日 1時) (レス) id: 02d9a0ed5d (このIDを非表示/違反報告)
夢宵桜(プロフ) - 名無し5059号さん» 見えない色と見える色を教えて頂けますか? 私は色盲についての知識が浅いため、今の配色のどの部分が見えないか教えて頂けたら、対処法を考えられるかもしれません。 (2月16日 23時) (レス) @page46 id: 77ab0362c3 (このIDを非表示/違反報告)
名無し5059号(プロフ) - 色盲で文字が見えないけど対処法ありますか? (2月16日 22時) (レス) @page1 id: 427c7b5a4d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:夢宵桜 | 作者ホームページ:https://lit.link/dreamfairy
作成日時:2023年12月13日 23時