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「団長、もしかしてカツアゲした可哀想な嬢ちゃんって……」
「だからカツアゲじゃないってば。──いいよ。Aの話を聞こう。阿伏兎、この子と話せる別室を用意して」
「へいへい」
この交渉次第で、Aの人生が分岐する。
勝算はある。自信はないけど、オドオドして悟られてはいけない。
神威と阿伏兎に連れられて、応接間のような部屋に案内された。
話の続きを神威が促す。
「それで、取引ってどんなの?」
「私は自分を買いたい。そのために、ここで働かせてください」
「Aは弱いよね。ここでどうやって働くの? ここは宇宙海賊の巣窟だよ」
宇宙海賊。神威が自身を悪党だと言った理由が頭の中で繋がる。人を商品にするなんて、真っ当な組織がすることではない。
でも、だからそこの策略がAにはあった。
「私は腕っ節は弱いけど、書類仕事と金勘定は得意なの。例えば、無駄な支出を見直して給料アップとか──」
「姐さん、その話乗ったァ!」
食い気味に反応したのは阿伏兎だった。
いつの間にか「嬢ちゃん」から「姐さん」にランクアップしているし。
「あらら、阿伏兎を釣り上げちゃったねぇ。こりゃすごいや」
一方で神威は楽しそうにしている。
Aは、神威がこの宇宙船の中で団長と呼ばれるトップにいるのだと理解していた。最初に部下とか言ってたし。
その直下のポジションに阿伏兎がいることも。
財布を預けていたという部下は、この阿伏兎だろう。お金の話題にいち早く反応する。
財布を預けられ程に上位者から信頼されているということだ。
そして、仕事だから悪く思うな、なんて言葉が出る人は給料の話に弱い。
「団長ォ、姐さんはウチで雇うべきだ。書類仕事もできるし、海賊では貴重なタイプの人材ですよ」
ここを攻略してしまえば、あとは上位者である神威を説得してもらうまでだ。
「そう、私は江戸で毎日書類仕事をしてきたから、報告書も始末書も帳簿も作れる」
ここでAは一呼吸置いて、まくし立てるように言葉を続ける。
「ゴーストライター、つまりは秘密裏に書類を作る《秘書》としてここにいるべきなのよ!」
Aはドヤァとでも言いたげに秘書を名乗り出た。
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夢宵桜(プロフ) - 琥珀糖さん» 読みにくくてすみません…。配色を少し変えてみましたが、如何でしょうか。 (4月1日 6時) (レス) id: 77ab0362c3 (このIDを非表示/違反報告)
琥珀糖(プロフ) - 色盲とかではないのですが、背景と文字の色が同系統すぎて読めません。可能でしたら変更して頂きたいです。 (4月1日 1時) (レス) id: 02d9a0ed5d (このIDを非表示/違反報告)
夢宵桜(プロフ) - 名無し5059号さん» 見えない色と見える色を教えて頂けますか? 私は色盲についての知識が浅いため、今の配色のどの部分が見えないか教えて頂けたら、対処法を考えられるかもしれません。 (2月16日 23時) (レス) @page46 id: 77ab0362c3 (このIDを非表示/違反報告)
名無し5059号(プロフ) - 色盲で文字が見えないけど対処法ありますか? (2月16日 22時) (レス) @page1 id: 427c7b5a4d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:夢宵桜 | 作者ホームページ:https://lit.link/dreamfairy
作成日時:2023年12月13日 23時