光と重力【紫】 ページ29
「…今日、ヒカルが私にお客さん来てるよって。電話があったらしいんだけど」
「…うん」
「…降りたら誰もいなくて…青い傘だけが残ってた」
「…」
「だから、万が一 信ちゃんだったりしないかなって…さっき聞いたのは、それが理由」
「…その電話はほんまにあったん？」
「？ …どういうこと？」
「…や、なんでもあらへんわ。とりあえずもう一人で抱えんのだけは勘弁し。言うてくれな俺は何もでけへんのやで」
…ぐしゃぐしゃと私の頭を撫でて、“ちゃんと髪乾かさな明日大変なことなるで”と八重歯を見せながら笑う。
“明日も早いんやろ、今日はもう寝よか”
…そうだった
12月は繁忙期だから、いつもより早く出社することにしていて
…今日、あのことがあった後 ろくに仕事が進まなくてヒカルにも心配をかけたから
きちんと、取り返さないとーー…
安心して眠れるようにと、手を繋いで私たちはベッドに入る。
…大丈夫だと思った
すべてを理解し、包み込んでくれるこの人の手さえあればーー…
なのに
ーーーーー…
「…眠られへんのやろ、ここんとこずっと」
…暗い部屋に、小さく声が響いた。
「…気付いてたんだ」
…早く、眠らなきゃと焦るほどに。
「…しゃあないな、ちょっと待っとれ」
彼は小さく溜息をついて起き上がる
黒いシルエットが寝室のドアから出ていくのを見送る
扉の向こうで除け者になっていたソラが彼に甘える声が小さく聞こえた
「…ほれ」
「…なあにこれ、睡眠薬？」
「ん、マイスリー。5mgやしあんま依存性高くあらへんから」
身体を起こし、ベッドの縁に座る彼からお水と一緒にそれを受け取る
「…ふふ」
「何わろてんねん」
「なんか信ちゃんの患者さんになったみたい」
「あほ、はしゃぐとこちゃうやろ」
もらった薬を飲んで、ベッドに横になり
また隣の彼と手を繋ぐ…
「…ねえ信ちゃん」
「なんや」
…暖かい布団を肩までかけて
目を閉じたまま
私たちは小さな声で内緒話をする
「…クリスマス、楽しみだね」
「あー、普段あんま休み希望出さへんから事務のねえちゃんにやたら勘繰られたわ」
「ふふ…焼き鳥楽しみだな」
ああ、瞼の裏に
薄いひかり
「せやろ、あん店はーー…」
重力
心地よくて
「ーー…」
「…A？」
ーー…
彼の声が遠くで、聞こえた気がした
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たまご(プロフ) - okmrernさん» あ、なんか途中で送信しちゃったごめんなさい…！引き続きよろしくお願いします！ (2020年6月2日 17時) (
レス) id: 8c4f156e76 (このIDを非表示/違反報告)
たまご(プロフ) - okmrernさん» okmrernさま、お久しぶりですありがとうございます！ここまでされても私はこの村上信五とつきあいたい (2020年6月2日 17時) (レス) id: 8c4f156e76 (このIDを非表示/違反報告)
たまご(プロフ) - ブルームーンさん» ブルームーンさま、お久しぶりですありがとうございます！ラスボスは一番そばにいるということでひとつ…！ (2020年6月2日 17時) (レス) id: 8c4f156e76 (このIDを非表示/違反報告)
たまご(プロフ) - ぐふ。さん» ぐふ。さま、初めてのコメントうれしいですー！！信五最強説です…！そしてビリヤード！素敵ですねそれ…ただ友達がいる設定にしてしまったなあの店員さん…… (2020年6月2日 17時) (レス) id: 8c4f156e76 (このIDを非表示/違反報告)
たまご(プロフ) - ゆき姉さん» ゆきえさん！コメントありがとうございます嬉しい！ほんとしんどい話でごめんなさいね…いつもありがとうございます！ (2020年6月2日 17時) (レス) id: 8c4f156e76 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：たまご
| 作成日時：2019年8月18日 23時
