滲む灰色【紫】２ ページ28
「…お前、なんかあったやろ」
…なんで
「なんで言わんのや」
どうして彼にはいつも、
すべて、わかられてしまうのだろう
この人には
不思議な能力でも備わっているのだろうかーー…
「ーー…」
出しっぱなしのシャワーが彼の腰から下をじわじわと濡らす
彼はそれに一切動じることなく
両眼で、真っ直ぐに私を見つめて離さない…
「…言うてくれなわからんやろ、何があった」
「ーー…」
「…A」
ーー…彼は私の手を引いて身体を引き寄せる
疾しさと安堵で、顔を崩して泣き始めてしまった私を
「…信ちゃん、」
「なんや」
放物線を描くお湯
跳ねた水滴が霧のように煙る中
「服、濡れちゃうよ…っ、」
「あほ、そんなもんどうでもええねんーー…」
彼は、その全身で私を
強く抱きしめるーー…
「、ごめ…、信ちゃん、ごめんね」
「…ええから」
「ごめんねーー…」
首筋に両腕を回す
力強く抱きしめてくれる彼に縋り付くように
…もう、張り詰めた緊張も
殺した声も 張りぼての堤防は決壊し
遂に私は、悪夢から目覚めた子どものように声を上げて泣くーー…
「信ちゃん、私こわい…」
「ん…」
「どうしよう、こわいよーー…」
「…大丈夫やから」
理由も聞かず、背中を何度もさすりながら
世界中のあらゆる悪意から守ろうと流れ続けるシャワーの中…
「…俺がおるから、大丈夫や」
灰色の鎧を纏った彼は
ただ強く、私を抱きしめていたーー…
…
「…手紙か」
「…うん」
「…や、なんや変な手紙入っとるなあ思っとったわ。個人宛のもんあんま詮索するのもよくない思て放っといた俺が悪い。すまん」
お風呂から出て、改めて彼に経緯を話す。
現物を検分しようとしてくれたけれど、ヒカルに預けてしまったことを私は説明する。
…入れてくれたルイボスティーが温かくて
夜行性のソラがはしゃいだように部屋中を駆け回っていた。
彼の声の周波数は私の波立つ心を鎮める効果があるようで
こうしてソファで並んで話していると
なぜさっき自分があんなにも取り乱してしまったのか、
もう、わからなくなっていた。
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たまご(プロフ) - okmrernさん» あ、なんか途中で送信しちゃったごめんなさい…！引き続きよろしくお願いします！ (2020年6月2日 17時) (
レス) id: 8c4f156e76 (このIDを非表示/違反報告)
たまご(プロフ) - okmrernさん» okmrernさま、お久しぶりですありがとうございます！ここまでされても私はこの村上信五とつきあいたい (2020年6月2日 17時) (レス) id: 8c4f156e76 (このIDを非表示/違反報告)
たまご(プロフ) - ブルームーンさん» ブルームーンさま、お久しぶりですありがとうございます！ラスボスは一番そばにいるということでひとつ…！ (2020年6月2日 17時) (レス) id: 8c4f156e76 (このIDを非表示/違反報告)
たまご(プロフ) - ぐふ。さん» ぐふ。さま、初めてのコメントうれしいですー！！信五最強説です…！そしてビリヤード！素敵ですねそれ…ただ友達がいる設定にしてしまったなあの店員さん…… (2020年6月2日 17時) (レス) id: 8c4f156e76 (このIDを非表示/違反報告)
たまご(プロフ) - ゆき姉さん» ゆきえさん！コメントありがとうございます嬉しい！ほんとしんどい話でごめんなさいね…いつもありがとうございます！ (2020年6月2日 17時) (レス) id: 8c4f156e76 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：たまご
| 作成日時：2019年8月18日 23時
