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8話 ページ9

髪の毛を洗い流される。

フェ「よし。髪の毛は洗えたかな?」
そして私の方を見る。

フェ「えーっと、今みたいな感じで体は自分で洗える?」

私は頷く。
それを見届けた彼は、大浴場から出て行こうとする。

『ねぇ。』
私は彼を呼び止める。

フェ「ん?」
振り返るフェネス・オズワルド。

『どうして貴方は、いや、貴方達はそんなに私に優しくするの?』
私はさらに言葉を畳みかける。

『私は貴方の仲間を殺そうとした。私は貴方の敵のようなものじゃないの?』

『今だって、無防備な貴方を私は殺すかもしれない。』

『何が狙い?何が目的?情報なら、私は持っていないわよ。私は資料に書かれた人を殺しているだけだから。』

そう、つまり私に利用価値はない。

だから、もう私に親切にするのはやめて。

私に優しくしても、メリットなんて一つもないの。

だから、

だから私にこれ以上、生きる希望を与えないで。

どこか縋るように彼を見つめる。

お願い。
私は用済みだと言って。

もう、疲れたの。
居場所に固執して、それを守るためなら何だってすることに。

もう、息を楽に吸おうだなんて思わないから、私を居場所(呪い)に縛られないようにして。

ここ(デビルズパレス)はあまりにも優しすぎる。

まだ、生きてみたいと思ってしまうほどには。

でも、生きていく中で、人は絶対に自分にとって大切なモノを失くす。

私はそれを知っていた。

だから、やめて欲しい。

だから、大切なモノを作らせないで欲しい。


怖いから。

すると、
フェ「うーん。きっと、皆は君のことを支えたいんじゃないかな?」

『ささ、える・・・?』
意味が分からなかった。
どうして、自分たちの命を狙ったような奴を支えようとおもうのか。

理解が追い付いていない私に彼は言った。

フェ「ねぇ。悪魔執事が悪魔と契約する条件って知ってる?」

知らない。
無言で首を振る私。

フェ「それは、生きるのをやめたくなる程の絶望を経験してるかどうか。」

『ッ・・・!』
生きたくなくなる程の絶望。
それを抱えてても尚、彼らは天使から人々を救っているの?

なんて、綺麗な心を持った人達だろう。

フェ「皆がどんな絶望を経験してきたか、俺には量り切れない。でもきっと、ルカスさんもべリアンさんも、君が抱えている想いを察して、救いたいと思ってるんじゃないかな?」

私を、支える。
私を、救う。

なら、
『殺して、私を。』

“死”以外に私に救いはないのだから。

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闇桜 - 文哉さん» あ!!ありがとーーー!!! (2月16日 21時) (レス) id: 479adc5629 (このIDを非表示/違反報告)
文哉 - めちゃくちゃおもしろいー (2月16日 21時) (レス) id: 914ed8dfa2 (このIDを非表示/違反報告)
闇桜 - ルンバを食べるさん» か、神?!?!あ、ありがとうございます…!!めっちゃ嬉しいです!本当にこの作品へのコメなのか?!?!って私の脳内は大荒れですww今のところライト感がないですけど、これからも元気になってもらえるように頑張りますね!! (2月16日 15時) (レス) id: 479adc5629 (このIDを非表示/違反報告)
ルンバを食べる(プロフ) - 神…ですか、?読んだだけで元気100倍あそぱそまそになれるなんて神ですよね。神ですよ。 (2月15日 20時) (レス) @page29 id: 7a5ced0b99 (このIDを非表示/違反報告)
闇桜 - 優月さん» え待ってありがとうございます!!めっちゃ嬉しいです!!頑張りますね♡!! (1月29日 22時) (レス) id: 479adc5629 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:闇桜@非ログの民 | 作成日時:2023年12月12日 1時

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