☆6話 ページ26
『う、うぅん』
__パチッ
__ガバッ
私は勢いよく起き上がる。
『ぁれ…ここは……』
フカフカのベッド。
漂う薬品の匂い。
「目が覚めたかい?セーレちゃん」
『…ッ』
薬品棚の傍に佇み、私を見やるルカスさん。
そこで、自分が治療室のベッドで寝ていることに気が付く。
それと同時に、自分が厨房であったことを思い出した。
勿論、猛烈に左腕が痛くなったことも。
『あ、私……』
私はルカスさんと向き合おうと、体をルカスさんの方に向けた。
その時に気が付く。
ル「セーレちゃん。君の体は、君が思っている以上にボロボロだよ?」
私の体の至る所に巻かれた包帯。
目を細め、真剣にそれを見つめるルカスさん。
迷惑をかけてしまった、と思った時だった。
『ッ…』
背中を冷や汗が伝う。
動悸が早くなる。
嫌だ、嫌だ嫌だ嫌だ。
何が嫌なのか。
そんなことを考える余裕もないかのように、私の口から言葉は零れ落ちる。
『まっ、待って……!!だい、大丈夫。確かに体の傷は多いし、偶に痛む時もある。けど……っ!屋敷に迷惑はかけないし、掃除もちゃんとする。だから、だから……っ!!』
だから?
だから、私は何を望むの?
息が苦しい。
視界が滲む。
"言っただろ。周りの優しさがあって、初めて手に入れられるものが居場所だと。仲間だと。
もし、何か理不尽な理由で引き離されても、必ず迎えに行くし、いつまでも、帰ってきてくれるまで待つ。
それが、仲間で、居場所だろ。"
わかってる。
ここは、私が元々居た場所なんかじゃない。
だから、大丈夫。
彼らは、私を、見捨てたりなんかしない。
わかってる、けど。
"あんたなんて産まなきゃよかった!!"
"生きていくためには成果をあげるしかない"
"まだまだ、使えることを証明しなければならない"
『ッ、うぅ……』
頭に響く呪いの言葉。
その時
ル「大丈夫。落ち着いて、セーレちゃん。」
柔らかい声。
頭に乗る暖かい感触。
『ッ、』
それだけ、ただそれだけだけれど、私は自分自身に絡みつく
ル「ごめんね、セーレちゃん。不安にさせてしまったね。」
ルカスさんは眉根を寄せて謝りながら、私の頭を撫で続ける。
ル「大丈夫だよ、セーレちゃん。私達は絶対に、君を拒んだりしない。
だから……」
彼は一度、そこで言葉を区切る。
ル「だから、もっと私達を頼って…」
『たよ、る…?』
普段とは違う弱々しい声に、私は戸惑いを隠せない。
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闇桜 - 文哉さん» あ!!ありがとーーー!!! (2月16日 21時) (レス) id: 479adc5629 (このIDを非表示/違反報告)
文哉 - めちゃくちゃおもしろいー (2月16日 21時) (レス) id: 914ed8dfa2 (このIDを非表示/違反報告)
闇桜 - ルンバを食べるさん» か、神?!?!あ、ありがとうございます…!!めっちゃ嬉しいです!本当にこの作品へのコメなのか?!?!って私の脳内は大荒れですww今のところライト感がないですけど、これからも元気になってもらえるように頑張りますね!! (2月16日 15時) (レス) id: 479adc5629 (このIDを非表示/違反報告)
ルンバを食べる(プロフ) - 神…ですか、?読んだだけで元気100倍あそぱそまそになれるなんて神ですよね。神ですよ。 (2月15日 20時) (レス) @page29 id: 7a5ced0b99 (このIDを非表示/違反報告)
闇桜 - 優月さん» え待ってありがとうございます!!めっちゃ嬉しいです!!頑張りますね♡!! (1月29日 22時) (レス) id: 479adc5629 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:闇桜@非ログの民 | 作成日時:2023年12月12日 1時