部下が優秀すぎてむかつく件について (ページ15)

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第14話ページ15

ざまあみろと思う反面、怒られるのが自分でなくて良かったとも思う。
そう何となくほっとしていることに無性に腹が立って、力任せに壁からフォークを抜き取った。

「貴様、私と水無瀬の間を狙うんじゃない！私に当たったらどうするつもりだ！？」

「当てないから大丈夫ですよ。」

怒鳴りつけてやればいつも通りすました顔でかわされる。本当に、本当にこいつは食えない。
はい、と置かれたコーヒーを飲み込んで一呼吸ついた。
この後は創立祭開始の挨拶がある。念の為、もう一度原稿に目を通しておいた方が良いだろう。西園寺家たるもの失敗などは許されないのだから。まぁ、じぶんが失敗するなどとは微塵も思っていないが。

◆◆

開会式が無事に終わって、校内を見て回る。
廊下はバルーンや色とりどりの看板に溢れ、誰もがそのどれもに気を取られながら歩いていた。今日だけは半径50m以内罰金の規則も関係ない。
そんな中、私の半歩後ろを着いてくる一にどんな課題を出そうか私は未だに考えあぐねていた。正直、あまりにも思いつかないので今回だけは見逃してやろうとも思ったのだが、チャンスといえばチャンスなのだ。逃すのは惜しい……。

カリカリしている西園寺の目に、何やらおどろおどろしい看板が横切った。
思わず足を止める。真っ黒の看板には赤いペンキでやけに達筆に【お化け屋敷】の文字が書かれていた。

………ぶっちゃけた話あまりホラーは得意ではない。しかし、上手くいけばコイツの情けない悲鳴が聞けるのではないだろうか。
そう思いつつ一を見れば、やっぱり何を考えているのか分からない表情をしていた。
仕方なしに直接聞いてみればそこまで得意ではないと言う。
これは本当にもしかするともしかするかもしれない。

さすがに人気なのか行列が出来ていたが、優遇してもらい早めに入れたのはやはり西園寺の力というものだろうか。
深呼吸を1つして、それから暗闇へと歩を進めた。