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第二話 ページ3

制度を増やせば当然、庶民の反感を買う。しかし少なくとも(しお)にとってその反感は取るに足らないものに思えたし、実際、彼にとって庶民など道端に転がる石と同じくらい無価値なものだった。

だから己の作った制度で苦しもうが不満を募らせようが気にも止めてこなかったのだ。それが最近はどうだ、庶民派の一部グループが進んで規則を破りはじめ、果ては罰則金未払いときている。

さすがに庶民派の連中も業を煮やしはじめたのだろうか。自分より下の人間が逆らうのは許せなかった。

「おい水無瀬。なぜ庶民らは私に逆らうと思う? 」

それは純粋な疑問だった。彼はなぜ下々(しもじも)の人間が己に逆らうのかが理解できない。それは単にそういった経験が無いせいだ。

「それは西園寺(さいおんじ)様を妬んでおられるのでは……? 」

妬む、ふむ。確かにそうかもしれない。富、権力、金、顔の良さ、性格。そのどれをとってもこの学校に私以上に優れているやつは居ない。むしろ世界、いやこの宇宙のどこを探しても居ないだろう。

潮は1人納得して、しばし考え込んだ。執務室の大きな窓から入る光が、彼を逆光で照らす。その姿はまるで、漫画に出てくる参謀キャラのそれだった。

もしもこのまま放置して、庶民派の行動がエスカレートしては自身の完璧でスペシャルなスクールライフを邪魔されかねない。どうすべきか……。

なにかいい案はあるか? と水無瀬に問いかけると、彼は数秒考えてこんなことを言った。


「では、優秀な庶民を常にそばに置くのはいかがでしょう? 」

そして彼はこう続ける。

「そして優秀な庶民派でさえ西園寺様には逆らえない、お前らに勝ち目はないのだと、ほかの庶民派に見せつけてやるのです。」

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作者名:闇鍋ソース&ナイフ x他1人 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/mesemoaLOVE/  
作成日時:2019年8月18日 20時

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