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「…お、終わらない、」
トイレ掃除、お風呂掃除、ご飯の支度、隊士達の傷を治す、とにかく今日もてんやわんやな1日だ。真選組も相当忙しいようで、絶対に大ケガをして帰ってくる。
もちろん、その隊士の中に山崎さんはいない。非番だから。
数時間前に話しかけてくれたあの時間がもう恋しくなるのを感じる。
……早く会いたい。
ダメだ、仕事に私情を持ち出してはならない。
今は目の前の仕事に集中するんだ。
「あ、」
もう午後の3時を回っている。
そろそろ夜ご飯の支度をしないと、みんなが帰ってくる時間に間に合わない。
でも私の仕事の書類整理はまだ終わっていない。
「のぞみさん、…。」
「ん?どうした?」
「あ、えと…、書類整理をお任せできないかなぁ、と…思い、まして……。」
「あぁ、それくらい私がやるわよ。ほら、あんたは夜ご飯の支度をしてきなさい」
「ありがとうございます!!」
やっぱり優しいなぁ、なんて思いながら調理場に向かう。
今日の負傷者の数を見れば、おそらくほとんどの隊士が大きな傷を負って帰ってくるだろう。それなりにバランスを考えて食事を作らなければならない。
こりゃもう、山崎さんのプレゼントとか考える余裕なさそう。…って、こんなこと思ってる時点でまだ諦めきれてないじゃないか。
仕方ない。この仕事を早く終わらせるしかない。
早く、お世辞でもいいから山崎さんの喜んでる顔が見たい。
「分量ってこれくらいでいいのかな…?」
そんな感じで料理を休むことなく、し続けた。
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「Aちゃん!!これめちゃくちゃうめェよ!」
「ありがとうございます。」
幸い、女中達の手当てによってどの隊士も大事には至らなかった。おかげさまでこんなに私の料理を嬉しそうに食べてくれる。
そういえば、と口を開く沖田さんは、
「ザキの誕生日はちゃんと祝ったのかィ」と痛いところを突いてくる。
あ、あれ…なんか視界がぐらついてきた。
「おい!!佐藤!!!」
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作者名:サラダ | 作成日時:2024年1月15日 13時