重力、夢中力…弐｡【中原中也】

(72)gift ページ33

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鐘の音が聴こえる。

此処は、教会…？


訳が判らず呆けていると、遠くの方で拍手が上がった。何やら囃子立てる様な声も聞こえる。

薄っすらと目に映るのは、真っ白なドレスを着た花嫁と、真っ白なタキシード姿の＿＿＿＿＿



『…いや、何これ腹立つ…』



ぐ〜っと伸びをすれば、ギシッと横たわっていたソファが鳴る。

身を起こすと物凄い怠さが全身を襲った。
頭が割れそうなくらいに痛い。

完全に二日酔いだ。

其れに、昨夜の記憶がさっぱり無い。
一体自分は如何やって此処迄帰ってきたのだろうか。



『ん？何コレ』



ふと目に止まったのは整頓されたデスク。
何やらラッピングされた袋が置いてある。

ズキズキとする頭を抑えながら其れ等を1つ1つ見ていくと、自分への贈り物だと判った。



平仮名でAへと描かれた少し不格好な似顔絵はエリス嬢から。

綺麗な和柄の手拭いは紅葉の姐さんだろうか。

此の花束は……



『待って、何これ』



束になっていたのは花ではなく大量の麩菓子であった。手に取った其れから小さなカードが落ちたので拾い上げると、其処にはこう綴ってあった。




AA様ヘ、武装探偵社一同ヨリ。




思いがけない相手からの贈り物に言葉を失ってしまう。
今は気持ち悪くて胃が何も受け付けないから、後で美味しく頂くとしよう。


そして、最後の1つ…



「おい、A」

『うっわ!? 何、つかノックしろよ!!』

「………」

『今更コンコンしても遅いわ!!!』



ドアノブを持った侭其処へ立っているのは彼の阿呆幹部様だった。
髪はボサボサ、ネクタイもしていなければジャケットも着ていない私を見て顔を顰めている。



「手前…今何時だと思ってやがる」

『…一大事？』←

「嗚呼一大事だ、10時に手前が其の姿なのがな!!!」

『あーヤメテ大きい声出さないで！頭に響く!!』

「はあ？手前昨日何時まで飲んでたんだよ」

『生憎其の辺の記憶は只今喪失中なんだよ。何処かに落ちてたら教えてくれ』

「本気で死ねよ手前」



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