(71)自棄酒の理由 ページ32
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『何も今日じゃなくて良くないですかぁ?! 何方にせよ何も無いって無いよ!!!』
「Aさん、流石に飲み過ぎでは…」
「酒癖悪い所まで似なくてもね〜…」
『彼の阿呆と私の何処が似てるってぇ?!』
とあるバーに管を巻く女性と其れに付き合わされている男性が2人。
此の3人が泣く子も黙るポートマフィアの連中という事は既に其の事実を知っているマスター以外想像すらしないだろう。
「全く…久々に静かに飲めると思ってたのに…」
「真逆居られるとは思わなかったな」
『もうヤダ…知らんあんな阿呆…』
隣からズズッと鼻を啜る音がして、広津と梶井は同時に其方を向いた。
驚きで丸くなった目を合わせる2人。
"阿呆"というのは先程から続く会話より察するに、普段は此の輪の中にいる彼の事を云っているのだろう。
「A〜?どうしたのさ急に…」
「落ち着きましょう。ほら、お水です」
『ありがとうございます…』
冷水を飲んで深呼吸を1つ。
少し落ち着きを取り戻したようだが、彼女の目からは未だポロポロと雫が流れている。
「というかさ、結局何があったの?今の話じゃ中原幹部の許嫁が美人で中原幹部が阿呆って事しかわからないんだけど」
『別にいいよ…20過ぎたアラサー女子だもん…』
「はぁ……」
『でも私はちゃんと祝ったもん…頑張ってケーキまで作ったもん…コーヒークリームにしてあげたし……』
なのに彼の阿呆は…とAの愚痴は止まらない。
今の断片的な会話から広津は悟ったらしく、Aの背をそっと撫でた。
「そういえば今日は、お誕生日でしたな」
『広津さ〜〜ん』
「おめでとうございます、Aさん」
『うぅ〜…嫁がせて〜』
「広津さんに嫁がせてなんて云う人初めてみた」
「嫁がせてなんてプロポーズ初めてです」
「だろうね」
どうやら自棄酒の原因は相棒が誕生日なのに何もしてこなかった事らしい。
多分彼女は、今日御令嬢がお見えになった事で其れを忘れていると考えたようだ。
其れはいいが…
「そろそろ迎え呼んだ方が良くない?」
「まあ時間も時間だしな」
『ん〜……中也じゃないと帰らな〜い…』
絶句した2人が速攻電話をかけるまで3秒。
留守番電話に繋がり、諦めて尾崎にかけ直すまで15秒。
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ヤマダノオロチ(プロフ) - Yuukiさん» ありがとうございます!やっと構想がまとまってきました。これからもよろしくお願い致します! (2017年2月18日 23時) (レス) id: b2832ff97e (このIDを非表示/違反報告)
Yuuki(プロフ) - とても面白かったです!スランプで大変だと思いますが、これからも頑張ってください!応援してます!! (2017年2月18日 23時) (レス) id: 3720d37733 (このIDを非表示/違反報告)
ヤマダノオロチ(プロフ) - 天さんさん» コメントありがとうございます!上から目線だなんてそんな事無いですよ!?お褒めに預かり光栄です(>_<)最近はラブソングばっか聴いてて、主と中也くっつけたい〜とか考えてます(笑)これからも頑張ります! (2017年2月14日 20時) (レス) id: b2832ff97e (このIDを非表示/違反報告)
天さん - う、上から目線で失礼しましたぁああッ!! (2017年2月14日 19時) (レス) id: 6b9cd4fe2d (このIDを非表示/違反報告)
天さん - スランプ大変ですよね…文章とか読みやすくて好きです!頑張ってください(*´ω`*)ちなみに、私はスランプの時は曲を聞いてます。曲聞いてるとネタがポンポン出てきますので…!これからも応援してます(´˘`*) (2017年2月14日 19時) (レス) id: 6b9cd4fe2d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ヤマダノオロチ | 作成日時:2016年9月4日 20時