きっと其の三十 ページ30
.
「口移しはどうかと思うんだけど…」
「ごめんね、説明が面倒だったから。それに早くしないと邪魔されそうだったし」
「邪魔？」
まあ気にすることないわ、と向かいに座った彼女が云った。
大きな花畑の中で水玉模様のきのこへ腰を下ろしている。アリスに口移しで与えられた
「私が作ったお菓子を24時間以内に食べた人でないと
「それは…異能？」
「ええ、そうよ」
「じゃあ貴女は矢ッ張り、」
「そう。私の本当の名前は"アリス･プレザンス･リデル"」
不思議の国のアリスと鏡の国のアリスの主人公、『アリス』のモデルとなった人物。
それが『アリス･プレザンス･リデル』。
「ドジソンさんが私に授けてくださったの。貴女にもね」
「私、身内は母親しか知らないんだけど…」
「仕方ないわよ。でも貴女は何も悪くない。それを理解した上で、私の話を聞いて」
そして彼女は語り出した。
アリス･プレザンス･リデルと、私も知らないAAの話を＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
ドジソンさんから私がモデルの主人公『アリス』の冒険譚を聞かせてもらったのは10歳の時。それから12歳の時に『地下の国のアリス』という手書きの本を貰ったわ。
とても嬉しかった。だって、自分が冒険する話よ？しかもそれを作者の手書きでいただけるなんてすごいと思わない？
そして13歳の時に『不思議の国のアリス』が出版されたの。その頃からこの異能力とは仲良くやってるわ。
それから暫くドジソンさんと疎遠になって、ある時久しぶりにその名前を聞いた。
「日本に隠し子がいらっしゃるようよ」ってお姉様が云ってたわ。それを"遠い親戚"ということにしていた事も。
誰にも云ってはいけないとも云われたから、この事は今初めて他人に話したけど。
そして、"アリス"…いいえ、Aの存在を知ったの。
「A、頭の良い貴女ならもう判るでしょう？」
貴女がその、チャールズ・ラトウィッジ・ドジソンの隠し子だってこと。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 169人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ヤマダノオロチ | 作成日時：2018年2月5日 0時
