ダリア ページ8
藤ヶ谷に睨み付けられた宮田は少しどよめく。一歩後ろに引いてしまうほどその目は怖かった。
Y「太輔!!」
この後何か問題を起こしかねない藤ヶ谷を止めるよう声を出した横尾だった。けれどそんな声は藤ヶ谷の耳に入っておらず、宮田に近付き胸ぐらを掴む。
F「お前、三日前まで一緒にいた北山をもう過去にするつもりかよ!?三日前まで言葉を交わして笑い合った。なのにもう忘れて過去は終わりってか!?ふざけんな!!俺は認めねぇから」
一方的に怒鳴り散らして言い終わったら、宮田を軽く突き飛ばして楽屋を出て行った。
藤ヶ谷が出て行った後の空気はさらに重く、恐怖と悲しみだけが漂っている。
Y「……今日はもう帰ろう。仕事は休んで一回一人一人になって考えよう。藤ヶ谷は俺が何とかしとくよ」
横尾は優しくほほえんだ。けれど空気が和らぐ事はなかった。
その横尾の優しさにも救われないほど、みんなの心は蝕んでいたのだ。
横尾は藤ヶ谷を追いかけた。けれどその姿はどこにもなかった。もしかしたら帰ったのかもしれない。
けど、まだ心配だった横尾は藤ヶ谷の家に押し掛けることに。だが、彼は家には帰っていなかった。
ただならぬ嫌な勘がしたが横尾は諦めて自宅帰ることにした。
次の日藤ヶ谷は普通に仕事場所に来た。安心したものの昨日の出来事があり、メンバーは彼に怯えていた。まるで肉食動物を目の前にした草食動物のように。
今日もまた仕事は上手く行かず、キスマイのイメージは最悪なものになる。
そんな事を気にすることなく藤ヶ谷は一点を見つめていた。カメラを見るのではなく、誰かを見るのではなく、空間をみつめている。
もしかしたら彼の目の前にも北山がいるのかもしれない。
Y「……お前の目の前にはなにが見える?」
F「……北山がいる。」
Y「お前の北山は何をしてる?」
F「……おいでって言ってる」
Y「……!?」
おいでと言っているのなら、天国に誘っていることではないか。そんな嫌な予感がした横尾は藤ヶ谷の肩を掴んで顔を見つめ合う。
けどその焦点は合っておらず、どこか遠い目をしていた。
ますます嫌な予感はこみ上げてくる。
Y「……太輔、有休を取れ。今すぐに」
F「……いいの?そんな事して、」
Y「いいんだ。お前には休みが必要だ。マネージャーには俺から言っとくからお前は今すぐ帰れ。絶対家から出るなよ」
横尾の忠告を聞いていたのか分からないが藤ヶ谷は静かに立ち上がり、荷物を持ってとぼとぼと帰っ
て行った。
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作者名:supia | 作成日時:2021年9月23日 1時