ハナビ ページ37
F「あっち!はふ、ふっ、っは、」
熱に我慢できなくなった藤ヶ谷が声を出す。礼儀正しく手を前に置きながら身体を上下に跳ねらしていた。
K「ははっ!かかったな藤ヶ谷ぁ!」
それを見て北山は満面の笑みで藤ヶ谷に指を差して、彼の数歩前に出て藤ヶ谷の方を振り向きながら声を荒げる。
何とかじゃがバターを喉に通すと残った熱の痛みで目を潤ませた。それを見て大笑いする北山を睨んだ。だが藤ヶ谷は、かすかに北山の後ろに人の影を捉えてぶつかりそうになる北山の腕を無意識に掴み、自分の方に寄せてその通行人から避けようとする。
可笑しくて笑っていた北山は藤ヶ谷を指している腕を引っ張られて体制を崩す。転びそうになった所に藤ヶ谷の胸が北山の顔を埋める。
一気に藤ヶ谷の甘い香水の匂いが前面に広がった北山は、反応できず硬直してしまう。藤ヶ谷もそこまで引き寄せようと思ってなくて、急に視界の下にいい匂いのふわふわ髪が飛び込んでくる。
二人揃って硬直してしまったので、そのまま抱き合った状態になっていた。そのためちらちら向かれる視線。けれどそれに気づかない位、二人の時間軸は止まっていた。
先に我に返った北山は料理を持っていない片手で藤ヶ谷を突き飛ばす。いきなり押された藤ヶ谷は体制を崩し転びそうになるが、後ろ足でなんとか抑える。
K「……ぅあ、ご、ごめん」
F「……お、俺も、ごめん。急に、」
さっきまでの楽しい雰囲気は一気に冷めて、緊張感だけが漂っていた。また二人は気まずそうに視線を逸らす。
気まずい空気が流れる中、少し離れた二人の間に光り輝く糸を引いた。その糸が一気に弾け飛んだように大きな花を開花させる。
その周りで火花が踊りを舞っていた。花は一瞬で枯れてしまい煙化とする。開花した花の光から少し遅れて大きな爆発音が鳴る。
大きな音と眩しいぐらいの光に照らされ、二人は同時に空を見上げる。また糸を引いて一気に開花する。その花は手を伸ばしてしまえば届きそうだけれど、思ったよりもずっとずっと遠くにいるのにそう錯覚させてしまうほど大きく咲いた花だった。
空に開花する度に二人の距離は縮まっていき、最後は肩と肩がぶつかる距離までになっいた。でもそんな事を気にすることなく二人は空の舞台に夢中になっていた。
藤ヶ谷はふと隣の小さい背中を見る。自分より身長が小さい北山は、藤ヶ谷から見れば頭のてっぺんが丸見えだった。その顔も幼く、少年のような彼の目に藤ヶ谷は花火よりくじ付けになっていた。
視線を感じて北山も藤ヶ谷の方を見上げる。バチっとまた目が合った。
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作者名:supia | 作成日時:2021年9月23日 1時