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クチナシ ページ33

目を異常に瞬きする藤ヶ谷に影響されて、北山も瞼をしぱしぱさせる。

自分の真似をし始めた北山に笑いが込み上げて藤ヶ谷は、小さく微笑んだ。異常行動をしていた藤ヶ谷が、急に自分を見て笑い出したので北山は頬を膨らました。

  K「な、なんだよ、」

  F「ふはっ、ぁっ。ごめんごめん」

北山の不機嫌さを感じ取った藤ヶ谷は、頬を緩ませていたのを直して謝罪の言葉を口にする。

不機嫌を表に出して早々と内容を聞き出した北山の行動は、恥じらいを隠す為なのかもしれない。それを分からすように今度は北山が目を虚ろにして藤ヶ谷と目を背ける。

  F「……えっと、その、明日七夕じゃん?」

  K「……ぅん、」

北山の恥じらいを断ち切って藤ヶ谷は真面目な目つきで本題に入った。急に和やかな空気を切られ、真面目な雰囲気を漂わせる藤ヶ谷に緊張が走る。

  F「……近くで大きな七夕祭りがあるらしいんだけど……」

祭りという単語を耳にした北山はぐるりと藤ヶ谷に目線を合わせた。急に合わされた視線に驚いて藤ヶ谷は目を泳がせる。

再び緊迫感が漂って、二人はほんのりジワッと汗が滲んでるように見えた。北山が深く息を呑むとそれと同時に藤ヶ谷が唇を開けて、かすかなリップ音を鳴らす。

  F「……一緒に、行きたい、っなぁ〜?なんて、」

濁らしながら問う藤ヶ谷に北山は最初は、目を見開いて口を半開きにしながら硬直してたが、目を細めてん微笑みながら優しく笑う。

微妙な言い方になってしまった素直じゃない自分に嫌気を差していた藤ヶ谷だが、頬を緩めて笑ってくれている北山に藤ヶ谷も目元を緩ませる。

  K「なんだよwその言い方は、」

笑顔でも少し鋭い言葉は藤ヶ谷にぐっと突き刺さった。「ちゃんと言わないとな」と恥を捨て、藤ヶ谷はきちんと北山にむき直す。

また真面目モードに北山も椅子に座り直して姿勢を正した。お互い向き合った状態になった二人は、数秒見つめ合った後藤ヶ谷が再び口をあける。

  F「俺と一緒に祭りに行ってくれませんか?」

告白のような誘い方をした藤ヶ谷が、やっぱり可笑しくて北山は今度は腹を抱えて笑い出した。そんな彼を見て、次は怪訝そうに不機嫌そうな雰囲気を露わにした藤ヶ谷。

藤ヶ谷の表情を見て、「悪い悪い」となだめるように手を振る北山は何だか心底嬉しそうだった。やっぱり明るい北山の笑顔に負けた藤ヶ谷もまた微笑む。

  K「しょうがねぇ〜なぁ〜」

  F「やった!!」

大きく振り上げた手の拳を握り締めてガッツポーズを取る。そんな時間が何とも愛おしい。

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作者名:supia | 作成日時:2021年9月23日 1時

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