リナリア ページ19
車の中では会話が繰り広げられていた。その会話の主は、二階堂と千賀だった。北山と藤ヶ谷といったら外をぼんやり眺めているだけだった。その二人を見て二階堂と千賀は、顔を見合わせて苦笑いをする。
藤ヶ谷は外を眺めているようでその眼中には入っていなかった。彼の中では何て北山に話しかけて和解できるのだろうか、と頭をフル回転して考えを巡らす。
北山は外の景色に浸っていた。その中では、ぼんやりと先程の藤ヶ谷に対しての気持ちは何だったんだろうか、と考えていた。
その間に時間はどんどん過ぎて、目的地まであともう少しになっていた。二階堂と千賀は会話の話題が尽き、黙っていて車内はとても静かになる。けれどそれをぶった切るように二階堂は全員に呼びかけるように大きい声を出した。
2「あーー……もう着くけど、お手洗い行きたい人でもいるー?」
その瞬間、藤ヶ谷は何かに気が付いたような顔をしてチラッと北山の方を見た。その反応が気になって北山も藤ヶ谷を横目で見ていた。けれど藤ヶ谷はすぐに前に向きなおして、前のめりに二階堂の問いに答える。
F「お、俺。行きたいかも、」
2「あー!了解!んじゃ、止まりますねぇー」
二階堂は大幅にデカいリアクションをしながらもスマートに駐車場に車を停めた。長い間座ってたので全員車から出てリラックスする。すると藤ヶ谷は二階堂と千賀を集めて、北山に聞こえない位置まで移動し肩を抱き合いこしょこしょ話をし始める。
その姿を北山は不満気な顔で見据えていた。その目は怒りを露にしているようで、何処か寂しそうにも見えた。話が終わったのか三人とも顔を上げ、二階堂と千賀はお手洗いに向かって行った。
藤ヶ谷はそこに立ち尽くしており、まだ車の前にいる北山の方を振り返る。その時北山の顔は引きつり、一歩後ずさりしようとした。だがその後ろにはすぐ車体があり、少し身体を軽くぶつけて固まる。
そんな北山を見据えながら何もないように藤ヶ谷はわざとらしく目を逸らす。頭を掻きむしりながらそっと一歩北山に近づく。
F「……あー、北山はお手洗い行かなくていいの?」
K「……俺は別にいいかな、」
会話が途切れる。その空気は微妙な雰囲気に包まれていた。藤ヶ谷は気まずそうに斜め下を見る。その彼を見て北山は眉をひそめた。
K「……今日、俺来なければよかった。」
F「っ……!な、なんで?」
K「だって、楽しくないんだもん」
「そんなの、目的地に着いてないのだから当たり前だろ」と言いかけたが北山のただならぬ雰囲気にその言葉を呑む。
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作者名:supia | 作成日時:2021年9月23日 1時