戻ったって変わらないのに (ページ22)

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ラナンキュラスページ22

すると北山は無言で何かに指を指していた。そこにあったのは猿のイラストが描いてあるパネルだった。

けれどそのパネルは猿の顔の部分に穴が開いていて、どうやら顔パネルのようだ。

そのパネルを指しながら、北山のもう片手にはスマホが握られており、目を輝かせながらじっと藤ヶ谷の方を見つめていた。まさかと思い藤ヶ谷は顔をしかめる。

　 F「……き、北山？ま、まさかじゃないよね、」

　 K「ふはっ、そのまさかだよ。やってよ！」

一応間違いだと信じて確かめてみる。だがそれは逆効果で考えていることが的中してしまい、藤ヶ谷はやらかしたという顔になる。

「早く早く！」と急かされてしまい、ここまで期待されて断ることもできなくなり、藤ヶ谷は渋々穴に顔をはめる。

その顔はどんよりしていて、写真映えは全くないが北山は腹を抱えて笑っていた。カメラの音が何回か聞こえた所で素早く頬を染めながら、北山の元に向かう。

すると藤ヶ谷は北山が持っていたスマホを取り上げて、「どうぞ」と言っているかのようにパネルに手の平を向ける藤ヶ谷。

その顔はニッコリしていたがそこからは恐怖を感じる。

その表情を向けられた北山は青ざめ、誘導されるがままにパネルの方に向かって行った。少し緊張気味に穴に顔をはめると藤ヶ谷は連写する。

カシャカシャと連続で出された音に驚いて北山は恥ずかしそうに頬を染める。

急いで藤ヶ谷の元に向かって行き、慌てて藤ヶ谷からスマホを取り上げた。

　 F「いい写真が撮れたよ」

　 K「そうかよ、」

照れ臭そうに口を尖がらせながら写真フォルダーを開くと、自分の顔がびっしり引き詰められていてぎょっと飛び上がる。そんな北山を見た藤ヶ谷は腹を抱えながら笑いだす。

「おい！！」と言いながら藤ヶ谷の肩を軽く叩く。その様子を遠目で見ていた二階堂と千賀は、二人の方が照れて顔を赤くしていた。

その後ふれあいコーナーに着いた四人は少し低い椅子に座る。

親子に囲まれながら膝の上に兎を乗せて、各々愛でる。兎は大人しく耳を垂らして彼らに身体を預けていた。

そんな兎に四人はメロメロになる。だが北山の隣に座っていた藤ヶ谷は兎よりも彼に魅了されていた。

顔を緩めて、目をとろんとしている北山に夢中だった。

ちょっと気を緩め過ぎている北山に悪戯がしたくなった藤ヶ谷は顔をにやけさせ、北山の耳に顔を近づける。ふぅっと息を吹きかける。

　 K「ひゃっ！」

びっくりした北山は身体を飛び上がらせた。思った以上に可愛らしい反応に藤ヶ谷も目を見開く。