美しく残酷な、【リヴァイ】 (ページ8)

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エルヴィンの話の後、俺は真っ直ぐ自室に戻ったが、Aはエレンに絡まれていたせいか少し遅れて戻ってきた。

『ただいま、リヴァイさん』

「あぁ」

隣に腰掛け、俺の手に自らの手を重ねて来た当たり相当参っているのだろう。

Aが自分から手を繋いで来る時は辛いことがあった時か一人で思い詰めている時だ。

「あんま無理すんなよ」

思った事をそのまま口に出すとAは目を剥いて驚いた表情を浮かべる。

『む、無理してなんか』

「分かり易いんだよ、お前は」

手を繋げばお前の気持ちくらい分かる、なんて言い過ぎだが大体仕草や行動で分かるもんだ。

『なんで分かったんですか、…』

「……手」

『手？』

不思議そうに、不審そうに。Aは小さく首を傾けた。

その後暫く『どうして手なの？』『なんで手で分かったの？』なんて質問攻めにされたが、全てスルーしておいたせいもあってかその質問攻めも終わった。

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思い出してみたけれど特に涙を流すようになるきっかけは見当たらない。この後Aはニコニコしながら俺に抱きついてきていたし、機嫌もよかった方だと思う。

どうしてしまったんだろう、とAの顔を思い浮かべる。

ふと、手を繋ぎたいと思った。

手を繋ぐだけでAの気持ちを伝え合えている気がするから。

触れたい、とここまで思ったのは初めてかもしれなかった。