一欠片の愛をPart2【五条悟】

伍拾参 ページ6

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自分の手のひらの中の短くなったネックレスを見て、やっと冷静になりやってしまったと理解する。目の前の悟さんはぽかんと口を開けて固まっていた。



『…ごめんなさい。それじゃあ私もう行くので』



突然体を動かしたせいだろうか、塞がっていない足の傷が開いた感覚があり、痛みが走り転けそうになるもなんとか踏ん張って歩き出した。



「…待って。送るから」



『いらないです、1人で帰れます』



「僕が嫌なら伊地知を呼べばいい」



『しつこいです、もういいですから。話しかけないでください』



これ以上彼と一緒にいたくなかった。これ以上辛い思いをしたくはなかった。その一心で悟さんと離れようと痛む足を引き摺るようにして歩く。



「待てって。その足でどうやって帰るの。意地張るなよ」



『触らないで！！』



私の手首を掴んだ悟さんの手を反射的に振り払う。私に触ったら悟さんが汚れてしまう、そんなのは絶対にいけないと直感で思った。



私のことが嫌いだと、邪魔だと突き放すくせにどうして気まぐれで優しさを見せるの、どうして…



悟さんは振り払われた手を呆然と見つめていた。私は居た堪れなくて、悟さんの方を振り返らず山を降りた。




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