ねえさんが十四人 ページ18
_「ああー! 仕事終わり。 いちにい、褒めてくれるでしょうか」
もしかしたら撫で撫でも! なんて考えたら跳ねたくなってしまう。
だが、このまま帰ってもいちにいもねえさんもお出かけ中だ。 折角遠出したんだし、おみやげでも買ってこうかと踵を返す。
「あれ?」
いちにいとねえさんと、飴村乱数と知らないおっさん。
よくみると、ねえさんが絡まれてる。
ねえさんのあんな嫌そうな、泣きそうな顔初めて見た。
「あの、何してるんですか?」
気づけば、男性の手首を握っていた。
開放されたねえさんの手首は、少し赤くなっている。
「君こそ失礼ではないか」
「三郎、大丈夫だよ。 ……すみません、指輪は着けておきますので……」
「……まぁ、私も仕事がある身ですから、今日はこの辺りで。 Aさん、よろしくお願いしますね?」
ようやくどっか行った。
ねえさんの方を見ると、小さく震えてる。
「ねえさん、あいつがねえさんの婚約者?」
「……まあ、ね」
ねえさんの手首を見るいちにい。
飴村乱数はさっきの男の背中「べー!」と舌を出していた。
「はー、ほんっとな無礼やつ! A、大丈夫!?」
「うん、もう平気。 一郎も三郎も、庇ってくれてありがと」
ぽんぽん、と頭を撫でられた。
震えてもないし、ほんとに大丈夫だろう。
確かに、改めてねえさんを見ると指輪をしてない。
「A、結婚するんだー」
「……」
飴村乱数はつまらなそうに、へー、と続けた。
……面倒なライバルが増えたかも。
にしても、あの婚約者は本当にいけ好かない。
ねえさんだって、あいつのこと、愛してない。
「もー! それより早くご飯いこ! Aお腹空いたでしょー?」
「うん、空いちゃった」
「一郎も三郎も早くいこ!」
どんよりと重くなっていた空気が幾分か軽くなる。
こういった空気は僕らでは作り出せないので、素直に感謝だ。
でも……。
「おい! ねえさんの手を握るな!」
「えー、だってまた変なヤツに絡まれたらメンドウだし……。 ボクとAがらぶらぶアピールしたら、だぁれも寄り付かないでしょー?」
「ちょ! ねえさんも嫌なら拒否してください!」
「三郎も手、繋ぎたいんだって」
「なっ!」
図星〜、とからかわれた。
ねえさんは空いてる方の手を出して、コテンと首を傾げる。
「……しつれい、します」
その手をぎゅっと握る。
細くて小さいその手は、丁寧に扱わなければ壊れそうなくらい繊細だ。
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おりはるこん(改名)(プロフ) - ミーさん» コメ返し遅れて申し訳ないです!最近やることが多いので更新事態の優先順位が低くなってるのがすごく悔しくて…。終わりは決まってるので着いてきていただけると嬉しいです! (2018年11月29日 20時) (レス) id: ea4c86eaca (このIDを非表示/違反報告)
ミー(プロフ) - 最近読み始めたので、更新とても嬉しいです…!これからも頑張ってください! (2018年11月9日 20時) (携帯から) (レス) id: 750b1e0df3 (このIDを非表示/違反報告)
おりはるこん(改名)(プロフ) - ぬぬぬさん» ここだと文字数が足りないのでボードかメッセージに移行してもよろしいでしょうか?私の考察は250文字以上になってしまいそうなので…(汗) (2018年9月15日 18時) (レス) id: ea4c86eaca (このIDを非表示/違反報告)
ぬぬぬ(プロフ) - ペンは剣よりヒプノシスマイクってどういう意味だと思いますか???調べても全然分からなくて… (2018年9月15日 17時) (レス) id: 62aeac2e51 (このIDを非表示/違反報告)
おりはるこん(改名)(プロフ) - ぬぬぬさん» わかりみが深い…!久々にヒプマイを誰かと語れてスッキリしました!ぽっせもわかります!ヒプマイ沼は深いですね…! (2018年9月15日 17時) (レス) id: ea4c86eaca (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:おりはるこん(元鈴音) | 作者ホームページ:なし
作成日時:2018年8月26日 8時