ハニーレモン・キス -Daiki.A-

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大「えっと。じゃあ、」




有岡くんが口を開きかけた時、教室の入り口から「大貴ー！」と大きな声が聞こえてきた。
声の方を見てみると、スラッとしたショートカットの女の子が1人。
私たちの元までやって来た。




大「おー。めぐ。」


恵「帰ろ！」


光「おい、俺もいるんだけど。」


恵「光居たんだ。」


光「めぐ、お前このやろー！」




目の前で繰り広げられるやり取り。
頭の中ハテナでいっぱい。
この場にいるのも何だかな。




「じゃあ、また明日ね。」


大「あ、うん！また明日！」




鞄を持って、遥香の席に向かう。
ここから私たちのやり取りを見ていたようで。




遥「なーに。人気者と仲良くなったんだ？」


「話しやすかったよ、2人共。遥香も仲良くなれると思う！」


遥「そ。つーか、有岡彼女持ちなんじゃん。見てよ、女子達の残念そうな顔。」


「あはは…。」




めぐって呼ばれてるあの子は、有岡くんの彼女なのかな。
とっても仲良さそうだしお似合い。
まあ、私には関係ないんだけどね。




遥「A、本当どんまいだよねー。」




学校を出て駅までの道のりを遥香と歩く。
話題は先程決まった委員会について。




「笑い事じゃないんだけど！自分は免れてさ、ずるいよ。」


遥「仕方ないでしょ。公平なくじ引きで決まったんだから。」


「希望者だけでやればいいのに。もう断れないかなぁ。」


遥「やりますって言っちゃったんだから無理でしょ。それに、断った所で誰にお願いすんのよ。みーんなやりたがってんだよ？」


「もう、なんで私なのー。」


遥「でもさ、有岡は嬉しそうだったよ。」


「彼女居るのに？」


遥「そうなんだけど。少なくとも私にはそう見えた。」


「変なの。」




でも、体育祭実行委員なら1年間じゃないし。
遥香の言う通り、断った所で争奪戦になるのは目に見えてる。
体育祭が終わるまで頑張ればいいだけか。




遥「任せてって言われたんでしょ？それなら任せりゃいいのよ。なにも率先して動けって訳じゃないんだしさ。有岡、優しそうだし大丈夫だって。」


「うん。とりあえずやってみる。」


遥「私も手伝える事があれば協力するから。」


「ありがと。」



駅に着き、反対方向の電車に乗る遥香とはここでお別れ。
今日から始まった新学期。
楽しみもあれば不安もある。

恋、なんかも出来たらいいなって淡い期待。





この時はまだ、あなたに恋をするなんて思ってもみなかった。

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