ハニーレモン・キス -Daiki.A-

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「みんなが呼んでるみたいに呼べばいいの？」


大「大ちゃんって？んー、そうじゃなくて。」


「よ、呼び捨ては無理だよ！？」


大「あ、やっぱ？俺は全く問題ないけど。」




呼び捨てなんてハードルが高すぎる。
ましてや、彼女でも何でもないのに。
そんなの女子達の目が怖いもん。




大「じゃあ、くん付けてくれればいいから！」


「うーん。どうしても下の名前じゃなきゃだめ？」


大「だってずるいじゃん。王子の事だって、健人って下の名前で呼び捨てなのに。俺だけ有岡くんって距離を感じる。」




そんな悲しそうな顔しないでよ。
嫌なわけじゃないから、私も呼び方を変えればいいんだけど。
改めて言われてると、なんかね。




大「あ！じゃあさ！」




何かを閃いた様子で、パッと顔を上げて私を見た。
今度は何を言われるんだろうか。




大「明日の選抜リレー、俺アンカーでしょ。」


「そうだね。」


大「それで一位取ったら下の名前で呼んで貰う。これでどう？」




まさか、そんな提案してくると思わなかった。
目をキラキラさせてじっと見つめられる。




「…………………わかった。」


大「まじ！？っしゃ！絶対一位取る！」


「も、もし。一位取れなかったら？」


大「その時は諦めて有岡くんで我慢します。でも大丈夫！一位になるから！」


「ん。頑張ってね。」


大「もう一個お願いしてもいい？」




ずるいなぁ、そんな顔するの。
だめなんて言えないじゃない。
コクリと首を縦に振る。




大「俺も、Aに変えるのは、ありですか？」


「……………………いいよ。」


大「え！いいの！？呼び捨てでも！！？」


「うん、」


大「やっべー。まじで頑張るから！」


「応援してるね！」


大「もー、本当そういうの。」




Aって一回だけ言われただけなのに。
私、すっごくドキドキしてる。
こんなに近くで笑顔を向けられて。
大丈夫かな、顔赤くなってないかな。


さ、運んじゃお！って台車にパイス椅子を全部乗せて動き出した。
その背中を追いかけようとすると、振り返った有岡くん。





大「ぜーったい一位になるから！見てろよ？」

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